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---【第119回】課題解決!介護事業相談室---

体系的な人材育成計画を

 

Q.「介護職員等特定処遇改善加算」を10月から取得しています。
「キャリアパス要件Ⅱ」の要件を適切に満たす方法を教えて下さい。

 

A.「キャリアパス要件Ⅱ」とは、人材育成に係わる要件です。多くの事業所で職員向けの研修が行われていると思いますが、ポイントは、①計画の有無、②評価の有無、です。実地指導時にも適切に要件が満たされているのかを確認されますので、適切な加算取得に努めましょう。

 

 

①具体的な計画を策定し、当該計画に係わる研修の実施又は研修の機会を確保
人材育成の手法としてOJT、OFF-JT、SDS(自己啓発援助制度)があります。キャリアパスに連動して階層別にOJT、OFF-JTを組み合わせることで、計画的な人材育成ができる仕組みとなります。キャリアパス表の中に研修項目が記載されると分かりやすく、職員への周知もしやすくなります。階層別の人材育成計画を策定し、個別の育成計画を作成することで、研修の参加率を上げ、より精度の高い人材育成をすることができます。

 

 

②OJT
職場の上司や先輩が職務を通じて、または職務と関連させながら、部下(後輩)を指導・育成することです。
職務命令により、一定期間日常職務を離れて行う研修を指します(一般的に「研修」と呼ばれるものは、OFF-JTです)。

 

 

③OFF-JT
職務命令により、一定期間日常職務を離れて行う研修を指します(一般的に「研修」と呼ばれるものは、OFF-JTです)。

 

 

④SDS
自己啓発援助制度。職場内外での自主的な自己啓発活動を職場として認め、経済的・時間的な援助や施設の提供などを行うものを指します。

 

 

⑤階層別人材育成計画
キャリアパスに沿って、求められる人材育成を示した計画です。

 

 

⑥個別の育成計画
個々の職員の資質を考慮して、個別に育成方針、育成方法を検討することを指します。
例えば、能力はあるが上位職を目指さない方に向けて作成をすることもあります。計画作成にあたって、職務遂行ニーズ(今の仕事をする上で不足しているスキル)、人材育成ニーズ(将来のために今のうちから高めておくスキル)の二つを意識すると、よりニーズに即した育成計画を作成することができます。キャリパス要件を定める際、あまり理想を求めると基準があいまいになるので、図のように二つのニーズを切り分け、さしあたって必要なスキル(当面の期待値)の基準をキャリアパス要件とするとよいでしょう。

 

 

⑦能力評価
ここにある「能力評価」は「人事評価」と別にしても構いません。OJTチェックシート等による各項目の達成度を評価にあてることもできます。人事考課の一部として活用する場合は、評価面談シートに考課項目「能力評価」を設定しても構いません。事業所にあった人材育成計画を作成してください。内部研修や外部研修の過去の実施/受講実績を確認してもよいでしょう。各研修を階層別に振り分ける過程で、全体像が見えてきます。漏れをなくすようにつくれば、より体系的な人材育成計画となります。
あわせて、各研修の要項や資料の整理を行うこともおすすめします。特に、研修要項は、各階層ごとに内容を記述する上で非常に参考になります。

 

 

<キャリアパス要件Ⅱ>
次のイ及びロの全てに適合すること。
 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上のための目標及び一又二に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
一 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT 等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
 イについて、全ての介護職員に周知していること。

 

伊藤亜記   ㈱ねこの手 代表 

介護コンサルタント。短大卒業後、出版会社へ入社。祖父母の介護と看取りの経験を機に98年、介護福祉士を取得。以後、老人保健施設で介護職を経験し、ケアハウスで介護相談員兼施設長代行、大手介護関連会社の支店長を経て、「ねこの手」を設立。

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