医療・介護施設の取組も
厚生労働省の「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」が9日に開かれ、同省は、今後の介護予防の柱となる活動として、高齢者の「通いの場」を改めて定義することになった。市区町村は2020年4月から健康保険法等の一部改正に伴い、介護予防とフレイルや高齢者の保健事業の一体的な実施が可能になり効率化も期待されるが、他方で事業の肥大化による財政負担への懸念も根強い。
「通いの場」に関する厚労省の新しい定義は、
▽自治体の介護保険の担当以外の部局が行う、スポーツや生涯学習に関する取組、公園や農園を活用した取組など介護予防につながる取組
▽民間企業・団体や社会福祉協議会など多様な主体と連携した取組
▽医療機関や介護保険施設等が自主的に行う取組
▽有償ボランティアなどいわゆる就労に類する取組
なども含まれる(図参照)。
さらに、高齢者だけでなく家族や現役世代を含めた多世代が交流する場としての意義を重視する方向性を提示。運営などにおいて医療専門職、リハビリ専門職、歯科衛生士など多職種との連携も有効とされている。
介護予防事業における「通いの場」は、14年の介護保険法改正で設定。17年改正でも推進強化が謳われたが、18年度実施の厚労省調査によると、全国の「通いの場」は10万6766ヵ所、65歳以上人口に占める参加率は5.7%と低迷している。
厚労省では、介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)に関する調査で、「市町村が把握しているもの」や「介護保険による財政支援を行っているもの」などを主に集計してきたことも参加率低迷の一因とみて、多様な「通いの場」の検討を進めてきた。
財源と指標設定、社保審持ち越し
財源としては、保険者機能強化推進交付金(インセンティブ交付金)が想定されている。同交付金はこれまで年間200億円で、自治体の実績や成果などの評価指標(評点)に基づいて交付金が配分されてきたが、地域包括ケア体制の構築や他の介護予防なども含め事業の総体が年々増大。市区町村には財政面を含めた負担増への懸念が根強い。
本検討会でも11月29日の第8回会合で「上限額の弾力的な運用」のほか、総合事業の対象者やサービス価格の上限を定める仕組みの見直しなどを求める意見が出ている。こうした介護予防に関わる事業部分についての財政的な裏付けは、今後、社会保障審議会介護保険部会などで検討される見込み。
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