自治体に補助申請手続きを
新型コロナウイルス感染症に係る介護業界への影響が拡大しています。多くの地域では緊急事態宣言の解除を受け状況改善も図られていると思いますが、第2波・第3波の到来を含め長期化を見据えた対応が必要です。
このような情勢を踏まえて一般社団法人全国介護事業者連盟は、『新型コロナウイルス感染症に係る経営状況への影響について緊急調査』を5月6日〜12日の期間で行いました。
1862事業所から有効回答を得ており、調査結果の内容を確認すると、サービス種別全体で「55.7%が経営への影響を受けている」「37.7%が影響を受ける可能性がある」と回答しており、合わせると93.4%の事業所が将来の可能性を含め経営に影響を受けるとしています。
また、本年2月と4月の売上調査比較においては、減収割合が、
0〜10%未満が45%
10〜20%未満が29.4%
20〜40%未満が18.9%
40〜60%未満が3.5%
60〜80%未満が1.4%
80〜100%未満が1.1%
100%が0.7%
となり、10%以上売上が減少している事業所が半数を超える状況です。サービス種別で見ると、通所介護で経営への影響を受けているとの回答が90.8%、ショートステイで76%、訪問介護で47%となっており、通所介護およびショートステイの経営への影響が著しくなっています。
このような介護事業者の経営への影響に鑑みて、政府や自治体でも様々な支援策の実行および検討がなされています。4月30日には令和2年度補正予算(第1号)が成立し、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所等に対するサービス継続支援事業」として103億円の予算が計上されました。
具体的には、介護職員への危険手当や、職員確保のための経費、マスク等の衛生用品の経費等について国が負担することとなります。対象は、利用者および職員に感染者が発生している事業所、濃厚接触者にサービス提供を行う訪問介護事業所、訪問サービス提供を行う通所介護などとされています。
補助額の上限は、特養が定員1名あたり3万8000円、通所介護は1ヵ所あたり53万7000円、訪問介護は1ヵ所あたり32万円となります。自治体への申請手続きが必要ですので、該当条件を確認し、速やかに手続きを進めるようにしましょう。
今後、政府は更なる公的支援に向けて第一次補正予算以上の規模での第二次補正予算を検討しており、6月中に成立する見通しです。苦しい経営環境が続きますが、事業者は、この正念場こそ情報のアンテナを張り、様々な策を講じていくことが求められています。
斉藤正行氏
2000年3月、立命館大学卒業後、㈱ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。
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