シミックホールディングスの100%子会社であるシミックヘルスケア・インスティテュート(東京都港区、以下CHI)は5月7日より、全国の医療機関向けに新型コロナウイルスの研究用抗体キットの販売を開始した。
コロナ第2波への備え
TRホールディングス(東京都中央区、以下TRH)が販売を請け負う。TRHでは介護事業者や医療機関を通し、高齢者施設の看護・介護スタッフに対する抗体検査を提案する。
抗体検査は、過去の感染歴を調べるもので、ウイルスに感染した後にできるたんぱく質(抗体)が血液中にあるかどうかが分かる。検査キットでは短時間で新型コロナウイルスの抗体の有無を高感度に確認可能。現場での感染拡大防止に役立てる。
製造元である米国のALFASCIENTIFICDESIGN社が製品開発で培った独自技術である「DRIVEN─FLOWTECHNOLOGY」(流体速度を速める技術)を活用することにより、従来方法に比べ、より高精度かつ短時間で検査結果を得ることができる。
米国での臨床検査結果では、PCR検査と抗体検査の結果一致率は陽性・陰性ともに100%。中国での同様の検査でも陽性判定で98%、陰性判定で95%の一致を得た。
TRHによれば、4月末までに高齢者施設で約550人が新型コロナウイルスに感染し、このうち約10%が死亡。通所系事業所を含めると死者は86人で、国内死者の約15%を占めているという。
TRHでは「高齢者施設スタッフの安全確保」を目的に、感染率の現状把握に努める。また検査を推進することで、今秋・今冬に想定される第二波への備えとしての役割も期待される。
使用法は指先から米粒大の血液を採取。その血液を検査キットのホールに滴下。その後、希釈液を2滴滴下し、キットのカバーを閉めるだけ。3~7分後に判定が出る。
本キットは医療機関だけではなく、介護事業者でも購入が可能。医療機関にて検査する場合は医師、看護師が対応するが、院外(高齢者施設内)にて検査する場合、医療法17条によりスタッフ本人の自己採血による検査を実施。一部、同法に抵触しない範囲でホーム内看護師が検査手順の指導や消毒等でサポートにあたる。
検査キットの価格は、20キット分で7万6000円(1キットあたり3800円)。
抗体検査は、PCR検査と異なり専門の技師などは不要。感染の実態を把握するのに役立ち、経済活動再開の判断材料としての活用も期待されている。
シミックグループは、1992年に日本で医薬品開発支援事業を開始。医薬品の開発から製造、営業、マーケティングまで手掛けている。CHIは2020年1月に治験実施施設支援業務を行うサイトポート・インスティテュートと、ヘルスケア情報サービスを展開するシミックヘルスケアが統合。シミックグループのヘルスケアビジネスを担っている。TRH(https://www.testing-kit-covid19.com/)は薬局の経営サポートの他、人材紹介、医薬品等の輸入販売、医療用検査装置の開発製造等、4つの領域で事業展開。グループ会社は8社におよび、調剤薬局、医療機器販売等、ヘルスケア分野に特化している。
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