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厚生労働省は6月27日、医療・介護分野で人工知能(以下・AI)を有効に使う方策を議論してきた有識者会議「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」の報告書を公表した。これから開発に力を入れていくべき「重点領域」を6つ提案。その1つに「介護・認知症」を位置付け、実用化に向けた工程表も打ち出した。

報告書では、サービスの質向上や業務の効率化など得られるメリットが大きいとして、幅広い領域でのAI活用に向けて環境の整備を急ぐよう促している。重点領域の1つとして打ち出された「介護・認知症」では、「排泄のリズムを予測でき、生活の質向上や介護職員の負担軽減につながる可能性が高い」などと具体例を挙げ、工程表も提出。2018年より現場主導のAI開発を推進し、2020年より試作機の開発に着手。「生活リズム事前予測システム」の一部を2021年にも実用化する構想を打ち出している。当面の課題には、現場のニーズを反映させた開発や必要なデータの収集などを掲げている。

「AIの限界とあるべき姿」についても触れており、「AIはあくまで、収集されたデータに基づく学習によって結果を予測しているに過ぎない」と説明。その予測が外れ、患者・利用者に誤った対応をする可能性は否定できないとの認識を示し、「人の命に関わる重大な問題。各種の状況を踏まえて人間が最終判断を下す必要性は引き続き残るはず」と結論付けている。

また、人間の仕事を代替する存在としてAIを捉えるのではなく、現場での適切な判断や措置をサポートするツールとする考え方が適切だとし、「職員には、AIを活用する知識・技術が必要」とした。

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