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らいふホールディングス(東京都品川区)で介護事業を手掛けるらいふ(同)が運営する有料老人ホームは1都3県で44施設2050室。3月末には国内大手ファンド、ジェイ・ウェル・パートナーズと資本提携を結び、一層の資本の充実を図りつつ、「介護高齢弱者の救済」「地域高齢者が高齢者を支える社会づくり」「生きる力を引き出す介護と生きる力の介護」の3つを推進している。小林司取締役に話を聞いた。

── 「介護高齢弱者の救済」とは

小林 当社では、他社施設では対応を断るような困難なケースも受け入れている。退院時などで急を要する場合や重度の認知症者、ターミナルの方でも即日対応が可能だ。以前より入居金0円のプランを設けているため、特養待機者などの受け皿としての役割も担っている。

── 「地域高齢者が高齢者を支える社会づくり」については

小林 地域の元気な高齢者を雇用する「パワフルスタッフ」という取り組みに注力している。介護に携わる場合は1100円、周辺業務は980円の時給を支払い、ボランティアでは得られない働きがいとともに活躍してもらっている。現在最高齢は81歳で、約230名が活躍中。閉鎖的になりがちな施設に地域の目が入ることや入居者と年齢の近いパワフルスタッフによる傾聴で入居者の本音を聞き出せることなど、メリットは大きい。

── 「生きる力を引き出す介護と生きる力の介護」とは

小林 入居者の本音や個々の要望を「新生活サービス」という独自のサービスで実現することだ。入居者に生きがいを持って生活してもらうため、様々な視点でアプローチをしている。実際にあったエピソードだが、居室にこもりがちな入居者の部屋を掃除していた際、職員が氷川きよしのCDを発見。「コンサートに行く」ことを目標にすると、リハビリやおしゃれなどに積極的になり、当日は残念ながら車椅子での観覧だったが、とても楽しまれたというケースがある。「次こそは歩いていく」ことを目標に、現在もリハビリを続けている。1日を楽しむだけでなく、次にやりたいことを見つけて、それに向かう原動力を引き出すのが、我々の考える「生きる力を引き出す介護と生きる力の介護」だ。

── そのほかの保険外サービスは

小林 現在最も注力しているのは、(1) 外出企画 と (2) らいふケア・コンシェル。(1) では独自に様々なバスツアーを組んでいるが、一番人気は、箱根や熱海に足を運ぶ「日帰り温泉ツアー」。現場と本社のスタッフが付き添ってエスコートするもので、費用は場所や内容にもよるが、1万5000円~3万5000円ほど。食事やお土産、当日の写真を収めたスタッフ手作りのアルバムプレゼントなどの特典も設けている。

(2) は、本社の専任スタッフがマンツーマンで入居者に付き添うサービス。気の向くままに過ごすことができるため、その日の気分で外出もできる。サービス提供を通じて、「パソコンを教えてほしい」「囲碁の相手をしてほしい」といった施設内での要望が多いことも分かった。

── 7月末、入居率が99.9%に達した

小林 私が施設事業を手掛けることになった2016年4月当時の入居率は89.8%、全1964室のうち、201室が空室だった。その空室を1年かけて立て直し、ついに入居率99.9%、現在全2050室のうち空室は3室にまで改善した。

── 入居率改善の理由はどこにあるのか

小林 地域住民や各種事業所への挨拶訪問、ポスティング、全施設での「地域交流イベント」の実施、町会への働きかけなどを、毎日繰り返し行った。施設単位での渉外活動を本社でしっかり管理し、「胆力を持って愚直に継続したこと、発信し続けたこと」が、地域の人々に認知されたのだと思う。

一般的に、介護施設の入居者の多くが近隣半径5キロ以内の住人であることを鑑みると、いかに地元の人に知ってもらうかが鍵になる。しかし、現場だけでは発信し続けられないため、本社スタッフも現場支援に入り、全社を挙げて入居率改善に取り組む体制を構築した。今後も現在のパフォーマンスを維持しながら、戦略的M&Aを加速させていく。

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