介護付有料老人ホームを6施設展開するサンケイビルウェルケア(東京都千代田区では、水分摂取、栄養管理、自然排便などを通じて活動性の改善を目指す「自立支援介護」を掲げている。利用者に合わせたケアや顧客満足度を向上させるためにどのようなオペレーションを図っているのか。就任して2年目になる金井岳弘社長に話を聞いた。
──これまでの経歴について。
金井 グループ外のホテル事業で国内外に対する営業を担ってきた。現場のオペレーションも数字も横断して扱えたことは今の仕事にも活きている。
──ADL改善を重視した「自立支援介護」には本人の意向確認や状態に応じた対応などが必要で、推進に慎重な意見がある。柔軟な対応を可能にするためにどのように人材を育成しているのか。
金井 マニュアル的に作業や動作を覚えるのではなく、職員一人ひとりが自ら考えるような環境を整えることを意識している。
例えば、当社では入居者の自然な身体の動きを活かし、これまでの生活を取り戻してもらえるような介助を行う。具体的には「『前から利用者の身体を抱えない』など理論に基づいた象徴的なケアの型を覚え、後は入居者との関わりの中から自分で学んでもらう」というのが基本スタンスだ。利用者それぞれに合ったケアの実践には行動様式を体現していく必要があり、言語化は困難だ。良いケアを提供するには地道なOJTを繰り返すほか無いように思う。
「自立支援」という目標はいわば北極星のようなものだ。会社として方向性を指し示す必要はあるが、入居者一人ひとりに対する最適解を実現していく過程は現場職員が考えていく必要がある。モチベーションの維持はサービスの質を高めることと考える。経営者としても現場職員を尊敬する気持ちを持って、できることの比率を高めていってもらいたい。
──今後の方針・目標について。
金井 まずは年1棟ほどの開設を継続して安定経営を目指したい。
来年の2月には、高級住宅地である東京都世田谷区の深沢に新たに有料老人ホーム「ウェルケアガーデン深沢」を開設する。これまでのホームでの実践から得た知見を活用して、サービスを発展させていきたい。
──「自立支援」に注目が集まる今、培ったノウハウや技術を社外に活かすアイデアは。
金井 コンサル指導などの商品化については、外部から打診を受けている。しかし、当社のホームの入居者に対して力を注ぎたい。 アジアへの展開は有力な展望だ。まずは現地から介護が必要な方に日本に来てもらい、当社のホームで生活をしてもらい、元気になって帰ってもらうというアプローチも面白いのではないかと考えている。
国内でも、当社では介護職員と看護師、機能訓練指導員それぞれが包括的な知識を高めあっている。職種間の垣根をなくし、現場の知見を医師や薬剤師などの医療系職種ともフラットに高めあっていきたい。
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