スリーフォレスト(東京都新宿区)は、外食店舗と介護事業所をつなぐ宅配システム「ハッピーテーブル」を開発した。4月よりサービスを開始する。外食産業のあらたな販路と、介護事業者の保険外ビジネス創出、及び福利厚生も担う。三森智仁社長に話を聞いた。
スタッフには割引価格で
──4月にローンチするハッピーテーブルとは
三森 高齢者向けの外食宅配システムで、注文・配達を介護事業者に担ってもらうサービスです。介護事業者は施設系・在宅系など多岐にわたると考えています。
──購入までの流れは
三森 当社が提携する大手外食チェーンのメニューから、利用者や家族の注文を介護事業者側で受けてもらい、システム上で発注します。昼食やおやつ、行事食での利用を見込んでいます。期日に合わせて店舗へ受け取りに行ってもらう形になります。受け取りに行くのが難しい場合でも、大手ロジスティクス会社の専門スタッフが届けるサービスも構築中です。
──利用者・介護事業者にメリットはあるか
三森 まず利用者(高齢者や家族)は店頭価格で購入することができます。一般的な配達の場合、注文額が数千円以上からだったり配達料の上乗せがあったりしますが、当社サービスはそうした条件はありません。
そして介護事業者側には注文額に対して一定額を当社からお支払いします。大手介護事業者の話では、自費の買い物代行を30分500円で受けていると聞きました。当社システムを利用し、複数食を受注できれば遥かに高い収入を得ることができます。その原資は外食店舗からなので、介護サービス利用者に余計な金銭的負担は発生しません。さらに介護事業所スタッフが食べる場合は、店舗価格よりディスカウントして提供する予定です。福利厚生の一環としても機能します。
また、外食店舗への支払いは利用者の口座振替とすることでキャッシュレス化し、利用者や家族は注文内容やかかった費用をWEB上で確認することができます。購入時の金銭のやり取りを無くし、不用なトラブルを回避できます。
──どういったメニューを揃えるのか
三森 サービススタート時点で誰もが知っている大手外食チェーン10業態程度を予定しています。ハンバーガーや和定食、寿司、天ぷらなどを揃え、その後、アイスクリームやドーナツなど年内に30業態まで広げていきたいと考えています。
──それだけの外食チェーンを揃えるのは難しいのでは
三森 私は外食産業の出身(※三森氏は大手外食チェーン・大戸屋創業家)であり、外食産業は熟知しています。近年、来客数は減少傾向が続き、昨年倒産した外食店は700店以上と過去最悪を記録するなど厳しい状況です。そのため外食業界も高齢者は重要なターゲットと捉えています。
当社のサービスは、宅配で先行するUberEATSなどより低い手数料率を設定しており、外食チェーン側にデメリットはありません。
──今後の展望は
三森 まずは1都3県でスタートし、その後は北海道、宮城、静岡、愛知、兵庫、大阪、福岡などで展開したいと考えています。いずれは食事以外にも日用品などの取り扱いも視野に入れています。2020年までに100万人の利用者獲得を目指します。
──高齢者はハンバーガーに代表される外食チェーンを好むのか
三森 マクドナルドをはじめとしたファストフード、ファミレスなどの外食チェーンがアメリカから日本に入ってきたのが1970年代です。その当時、家族や友人とよく通っていた世代が今の高齢者です。新しい味に感動し、会話を楽しみながら食べた記憶、思い出をお持ちの高齢者も多いのではないでしょうか。
食べたくてもお店まで行くことが難しい、一人暮らしで注文ができないという高齢者に、毎日の食事を選択する楽しさを届けていきたいと思います。
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