東京商工リサーチ調べ
大手信用調査機関の東京商工リサーチ(東京都千代田区)は1月11日、2018年の老人福祉・介護事業の倒産件数が106件だったと発表した。7年ぶりに前年を下回ったが、過去3番目に多く、倒産件数の高止まり状況が続いている。
1億円未満の倒産が8割弱
負債総額は81億9400万円で前年の150億1100万円より大きく減少した。この背景には負債10億円以上の倒産がなかったことがあげられる。一方で負債1億円未満の倒産が82件で全体の8割弱を占めている。
報酬増が影響か
倒産発生件数を月別に見てみると、1~3月は前年比28・5%増、4~6月は同3・8%増と過去最悪のペースだったが、7~9月は同6・4%減、10~12月は同20・0%減となっており、前半と後半で様相が大きく異なった。これについて同社は「2015年度の介護報酬引下げ以降に倒産増加に拍車がかかり、18年度改定で倒産減少につながったことから、報酬改定と倒産発生ペースとの関連は否めないようだ」と分析している。
倒産した事業所のサービス種別では、訪問介護が最も多く45件、ついで通所・短期入所介護事業の41件、有料老人ホームの14件。
訪介は前年と同数、通所・短期入所はやや減少したが有料老人ホームは前年の6件から2倍以上に増加した。これについて同社では「同業他社との競争激化で入居者確保に苦慮する事業者の破綻が目立つ」とコメントしている。
今後の動向について同社では、(1)今年10月の消費税率引上げに伴い介護報酬も引上げられること、(2)特定技能に介護が対象になったこと、など先行きには経営環境の改善が図られる期待も出てきたとしつつも「介護職員不足の中で、離職を防ぐための人件費上昇は避けられず、これが経営の足かせになる状況には変わりがない」と、予断を許さない状況が続いていると指摘する。
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