「該当者は数%」
第69回社会保障審議会介護保険部会が11月25日開催され、利用者負担のあり方について議論された。厚生労働省は、高齢者世代のうち、現役並みの所得がある人については介護保険の利用者負担を3割にする案を示し、委員の多くもこれに賛同した。
「全体2割負担」考える必要性も
厚労省は「現役並み所得」を「世帯内の第1号被保険者に課税所得145万円以上の者がいる場合(ただし、同一世帯内の第1号被保険者の収入が、1人のみの場合383万円、2人以上の場合520万円に満たない場合を除く)と定義。在宅サービス利用者の3~4%に当たる約13万人、特養入所者の1~2%に当たる約1万人が該当すると推計している。
この案に対し「前回の改正で2割負担が導入されたばかりなのに、その直後に3割負担の議論をするのはいかがなものか」(花俣ふみ代委員・公益社団法人認知症の人と家族の会常任理事)、「(3割負担は)医療保険の患者負担との整合性を図るため、との考えもあるが、介護の負担は医療と違い長期間続くものであることを考えると、同一に論じるのはどうか」(齊藤秀樹委員・公益財団法人全国老人クラブ連合会常務理事)などの意見も見られたが、多くの委員は「応能負担の考え方は理解できる」「消費税率引き上げが見送られ、社会保障の財源が厳しい以上、仕方がない」など3割負担導入に理解を示した。
さらに「低所得者に向けた配慮は必要だが、全体を2割負担とすることも避けられないのでは」(井上隆委員・一般社団法人日本経済団体連合会常務理事)、「給付の引下げ等も併せて議論すべき。これまでの様な『フルスペックサービス』の介護保険である必要があるのか」(栃本一三郎委員・上智大学総合人間科学部教授)など、介護保険制度の持続維持に向け、もっと踏み込んだ議論をすべき、との意見も聞かれた。
保険制度見直し 意見素案を公表
また、この日は、これまでの同部会での議論を取りまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」の素案が示された。
この中で各介護保険サービスについては(1)通所リハビリテーションと通所介護の役割分担を図る。通所リハについては、リハ専門職の配置促進や短時間サービス提供充実を図る(2)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護については、人員要件や利用定員を見直す(3)障害福祉サービスと介護保険サービスの連携を図るため、新たに「共生型サービス」を介護保険サービスとして位置付ける(4)ショートステイを市町村協議制の対象とする(5)市町村に地域密着型デイの指定拒否権を与える(6)有料老人ホームの前払金保全措置の対象を拡大する(7)福祉用具の貸与価格に一定の上限額を設ける、ことなどが盛り込まれた。
今回発表された素案については、次号(12月14日号)で詳しく紹介する。
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