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がんと難病患者に特化
「ファミリー・ホスピス」「ナーシングホーム」のブランドで、全国で13棟のホスピス住宅を運営する日本ホスピスホールディングス(東京都千代田区)。3月28日に東証マザーズ市場に株式を上場している。運営する住宅の特徴や今後の展開などについて、高橋正社長にインタビューした。

来年6棟新設、エリア拡大も

──会社設立までの経緯を教えてください。
高橋 もともと名古屋に、がんと難病患者専門のサービス付き高齢者向け住宅を運営するナースコールという会社がありました。私は、以前は別会社を経営していたのですが、そのときにナースコールを知り、自分の会社でもこうした住宅を運営したいと思いました。そこで、ナースコールの創業社長に顧問になってもらい、スタッフはナースコールのサ高住で研修するなどして、自分でホスピス住宅を開設しました。

その後、ナースコールは創業社長からファンドに売却されるのですが、そのときに関係が深かった私に社長就任の声がかかったのです。2014年のことです。現在の日本ホスピスホールディングスは17年1月の設立です。

──上場の話はいつごろから出ていたのですか。
高橋 14年にファンドがナースコールを取得したときに「5年以内にIPO」を目標としていました。ですから、ほぼ目標通りといえます。

──現在の事業規模および今後の展開は。
高橋 カイロス・アンド・カンパニー、ナースコール2社を傘下に置き、現在13棟のホスピス住宅を運営しています。カイロスは東京都と神奈川県で「ファミリー・ホスピス」のブランドで展開、ナースコールは「ナーシングホーム」のブランドで愛知県で展開しています。

今後の予定としては、今年2棟の住宅を増床するほか、神奈川県と愛知県で1棟ずつ新設します。また20年には首都圏で4棟、愛知県で2棟新設予定です。その後は事業展開エリアの拡充にも力を入れ、関西圏での開設を目指します。 また、運営する住宅が満室になったら、併設している訪問看護サービスなどは地域の高齢者に対しても展開していきます。現在、こうした動きをしているのは神奈川県の「本郷台」「鴨宮」の2つだけですが、今後入居が進んでいけば、他の住宅でも取り組んでいきます。

「認定看護師」25人在籍
救急搬送5年で1度だけ

──ホスピス住宅の特徴は。
高橋 がんもしくは難病患者を対象にしたサービス付き高齢者向け住宅、ないし住宅型有料老人ホームです。居室数は20~30程度。併設する介護事業所は、看護小規模多機能型居宅介護、訪問看護、デイサービスなど、住宅により様々です。現在の入居者はがん6割、難病3割、その他1割といった割合です。がん患者の場合、平均で入居してから2ヵ月で亡くなります。

──「看取りに力を入れている」と謳う高齢者住宅が増えていますが、それらとの違いは。
高橋 一番大きいのは看護師の質だと思います。一般的な高齢者住宅では、勤務する看護師は出産・育児のブランク明けなどが多く、昨日まで病棟の第一線で働いていた、などというケースは少ないのではないでしょうか。 それに対し、当社は病院に勤務していた現職ナースが大勢転職してきます。認定看護師だけで25人います。それだけに多くの状況に自社の看護師だけで対応が可能です。この5年間で入居者を救急搬送したのは1回だけです。

病院から転職、即戦力看護師
──なぜ、病院から看護師が直接転職してくるのでしょうか。
高橋 診療報酬改定の影響などもあり、病院における看護師の役割が単なる医療になっている傾向があります。そうした中で一人ひとりに対し「看護」「緩和ケア」をしたいと考えている看護師が病院以外の新たな働き口を求めています。そうした中でホスピス住宅がクローズアップされてきていると実感しています。

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