人手不足、介護報酬引下げ、入居者虐待問題など高齢者住宅運営事業者には、様々な逆風が吹いている。こうした中、各社はどのような舵取りを行っていくのだろうか。大手を代表して、長谷川介護サービス(東京都豊島区)、木下の介護(同新宿区)に話を聞いた。
ニーズ多様化に対応 旅行レク月4回実施
「新木開設ペース 年間20棟堅持」
──ここ数年、新規開設の動きが非常に活発です。
袴田 当社は10月から新年度ですが、昨年度は23棟を新設しました。今後も年間20棟ペースでの開設を進めていきます。エリアは、現在は首都圏、北海道、沖縄及び長野ですが、来年は神戸で2棟の新設を予定するなどエリアの拡大も図ります。50室〜70室程度の特定施設ないし住宅型有料老人ホーム、入居費用は初期費用ゼロ・月額20万円以下を基本スタイルとしていきます。ただし、好立地の場合は、完全セレクト食事の導入などでグレード感を高めた住宅も開設する考えです。
──入居者へのサービス面などで力を入れている点は。
袴田 これから高齢者住宅の入居者になるのは団塊の世代、いい意味で「わがまま」な層です。「彼らに選んでもらい、満足してもらえるようなサービスとは何か」を徹底して追及しています。例えば当社では旅行業の資格をとりました。現在、入居者向けの旅行レクリエーションを月に4回実施しており、大変好評を博しています。
また長谷川興産などのグループ会社や外部企業と連携して、外出同行、介護フィットネス、シニアヨガ、ヘアカットなどを有料で提供する「イリーゼライフスタイル」というサービスを提供しています。
「入居者の4割 県外から」
──サービスの多様化を進めるということですね。
袴田 高齢者住宅に入居する理由や、入居後の使い方も多様化が進んでいます。当社が沖縄に開設した「今帰仁」は入居者の4割が県外居住者です。「年をとったら海の近くに住みたかった」などというニーズを取り込んでいます。また、札幌の「定山渓」では、道内居住者が入居し、湯治感覚で週末に家族を呼び寄せて遊ぶ、などといった使い方をしている例があります。これから事業者に求められるのは、こうした「利用者ニーズ多様化への対応」でしょう。
──そのためには人材確保・教育などといった企業体制の強化なども重要です。
袴田 ここ数年、会社が急成長していることでイリーゼブランドが浸透し、「キャリアパスなどの仕組みがしっかり構築できているのでは」などという印象があるからか、就職に関する問い合わせも増えています。新卒採用も以前より行っていますが、新卒入社のプロパー社員がホーム長候補になるなど、社の中核を担う若手人材も育ってきています。長谷川アカデミーという教育機関を自前で持っており、スタッフの資格取得を支援できるのも強みです。長谷川アカデミーについては将来法人化も考えています。
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