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 MSM国際女学院は一昨年、日本で建設会社を経営していた土屋昭義氏が、ミャンマー女性の向上心の高さに注目し設立した全寮制の日本語学校。

 

 介護分野の技能実習制度施行を踏まえ、優秀な人材を日本に送り込む考えだ。日本から介護事業者を中心に総勢約20名がヤンゴン郊外にある同学校を訪問した。

 

 

「こんにちは」
「ようこそ」

 元気な女子学生に迎えられた訪問先は、ヤンゴン市街から車で2時間ほど、ヤンゴン国際空港からは1時間ほどの場所にあるMSM国際女学院(MIWC)。土屋氏が1万5000坪の敷地を取得し、その一角に校舎、学生寮、ゲストハウス、集会場などを建設。井戸や人工池、農園も整備した。

 

 現在生徒は20歳から30歳の日本語習得を目指すミャンマー人女性18人。市販の教科書「みんなの日本語」をベースに、校長を含め2人の教師が週5日・1日6時間の授業をこなしている。

 

 校長はミャンマー女性のエイミー・ピョー・ミン氏。もとは土屋氏がヤンゴン市中心部に5年前に設立した日本語学校(ヤンゴン学院)の求人広告で就職。幼少期に祖父から国費留学生として日本へ渡航した経験を聞かされ、自身も3歳の頃に「日本へ行く」と決心。2006年から12年まで東京で日本語を学んだ。エイミー氏は現在ヤンゴン学院とMSM国際女学院両校の校長を兼務している。

 

 ミャンマーは人口の9割以上が仏教徒。信仰の篤さを象徴する寺院が中心街でもそこかしこにある。近年経済開放策を背景に近代化も進む。

 

 「〝国造りは人造り〟という理念のもと、日本で忘れかけている国を憂う心とミャンマーのハングリー精神が交わった時、両国にとって素晴らしい成果が上がると思っている」(土屋昭義氏)。

 

 現在はヤンゴン学院(MSM)、MSM国際女学院の他、送り出し機関や測量会社などを設立し、グループを形成。土屋氏はグループの会長を務める。将来的にMSM国際女学院はミャンマーで初のプライベートカレッジ(私立女子大学)を目指すという。

 

 介護分野の技能実習制度スタートを踏まえ、静岡や愛知の介護事業者、東京の医療法人が設立する管理組合と提携を結ぶ予定。監理団体設立のタイミングに合わせ、海外人材を求める日本の介護事業者との交渉を進めていく考えだ。

 

 MSM国際女学院は既に日本の技能実習制度を活用し、縫製工場や食品工場向けに25人を送っている。卒業生を含め、150人以上が同学校で学んだ。また昨年、日本の大手教育企業にもCSR(社会貢献活動)の一環で3名の学生を留学生として日本に送った。

 

 「今後は介護の技能実習をメインに日本式の介護の教育プログラムを充実させていきたい」(土屋会長)。既に愛知県の介護会社の協力で介護教育を実践している。
 市街のヤンゴン学院の生徒数は約50名。教師は3名が在籍。現在ミャンマー国家顧問のアウンサンスーチー氏が通った高校の目の前にある好立地で「生徒を集めやすい環境だ」という。

 

 「取得した土地の大部分がまだ残っている。そこに菜園、フルーツパーク、牧場、レストラン、食品工場を整備するなど様々な取組みを進めたい」(土屋会長)。語学や技能だけではなく、農業や文化交流をテーマとした、〝日本人村〟構想も掲げている。

 

 MSMにはMyanmar Story Making「ミャンマーで物語を作る」という意味が込められている。

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