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 髙松建設(大阪市)は昨年創業100年を迎えた大阪でも有力な建設会社の1社。現在は持ち株会社髙松コンストラクショングループ(同)の事業会社として賃貸マンションやビルなどの建設を行い、高齢者住宅建設にも力を入れている。また介護事業も手掛けており、高齢者住宅運営事業者としての顔も持つ。山本生取締役常務執行役員に、高齢者住宅建設事業について話を聞いた。

 

 

──建設実績を教えて下さい。
山本 大阪本店の管轄の、全ての分野の建設実績で年間80~85棟程度です。東京にも事業拠点がありますが、そこを含めると約2倍となります。ここ数年の傾向としては、1棟当たりの工事価格がこれまでより2~3割程増加しています。これは賃貸住宅も貸しビルも1棟当たりの規模が大きい方が採算性がよいため、建築主が大型物件を希望するようになったこと、当社としてもそうしたニーズに応じられるように容積率の高い地域での建築受注に注力したことなどが理由です。

 

──高齢者住宅の建設実績は。
山本 その分野だけの集計はとっていません。大阪本店が手掛けたもので、今年1月~3月に完成する物件は16棟ですが、そのうち高齢者住宅は大阪府豊中市、大阪市生野区、京都市の3棟です。

 高齢者住宅のニーズは今後も増えていくでしょうから、建設は積極的に手掛けたいと考えています。しかし、一方で、当社の場合は重量鉄骨造などハイスペックな物件が多く、建設費単価は坪当たり60万~120万円はかかります。その分、家賃はどうしても若干高めになりがちです。そのグレードで入居者が見込めるエリアは、ある程度限定されますので、建設地については慎重に選ばざるを得ません。

 

──高齢者住宅の運営も行っています。
山本 子会社で管理業務を行う髙松エステートが訪問介護事業も行っていますので、建設、その後の借上げ、高齢者住宅の運営まで一貫して対応することができます。このように自社運営まで行う高齢者住宅は「エニシエ」のブランドで展開しており、これまで兵庫県川西市、大阪市生野区で例があります。また先ほど述べた1月から3月までに完成予定の高齢者住宅のうちの豊中市は自前で運営します。名称は「エニシエ豊中桃山台」。50戸のサービス付き高齢者向け住宅で、2月1日にオープン予定です。おかげさまで、現時点(1月25日)で既に10件の申し込みがあり好調です。

 

──自ら高齢者住宅運営を行う理由は。
山本 建設会社は、建築主と、物件を借り上げて運営する介護事業者を繋ぐ立場です。建築主には安定した賃貸収入をもたらす良質な介護事業者を紹介し、介護事業者には良質で使いやすい高齢者住宅を提供する義務があります。そのためにも当社は、建築主・介護事業者双方に対するコンサルティングに力を入れています。例えば、建築主に対しては、地域のニーズに対して自分が建設を希望する物件がオーバースペックになっていないか、介護事業所に対しては、理想とする介護を提供するにはどういった建物が適しているか、などです。こうしたコンサルティングを行うには、自身が実際に高齢者住宅を運営し、情報やノウハウを蓄積する必要があります。

 

──付き合いのある介護事業者はどのようなところが多いですか。
山本 良質なところであれば規模の大小を問わず、よい関係を構築しています。しかし、当社は介護事業者に対するコンサルティングを重視していますので、既に何十棟も高齢者住宅を運営し、しっかりと自分たちのスタイルを固めている介護事業者よりも「初めて高齢者住宅を手掛ける」「まだ数棟運営している段階で、今後増やしていきたいと考えている」といった段階の事業者との相性がよいようです。
 以前の話ですが、今では大手の一角であるスーパー・コートが、初めて新設で高齢者住宅を開設することになりました。その際に当社が様々な形で開設に向けたサポートを行いました。それが縁でその後も何件かスーパー・コートが運営する物件を手掛けています。こうした「ともに成長する」といった関係を構築できればと考えています。

 

 

 

 

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