札幌市の共同住宅「そしあるハイム」で1月31日深夜、火災が発生。入居者と思われる11人が犠牲になった。市は、この共同住宅の運営会社、なんもさサポート(札幌市)が運営する41施設に対して「無届け有料老人ホーム」の疑いがあるとして、法令違反の有無を緊急調査している。
札幌共同住宅火災受け
この共同住宅では、生活困窮者を新たな住居や就職先を見つけるまで一時的に受け入れていたというが、「無料・低額宿泊所」としても無届けだった。市は2015年の厚労省調査に対し、この共同住宅が「無届けの無料・低額宿泊所の疑いがある」と報告していたが、こうした施設の実態把握と行政による改善指導の困難さが浮き彫りになった。
厚労省は09年、群馬県渋川市の高齢者施設で10人が死亡した火災事故をきっかけに、無届け有料老人ホームについての調査を開始。09年は389ヵ所だったが、16年には1207ヵ所に増えている。無届けの無料・低額宿泊所も15年時点で1236ヵ所に上る。
厚労省は、これらの施設基準を強化する方針で、今国会での社会福祉法の改正を目指す。4月から、行政による改善指導に従わない悪質な施設に対し、自治体が事業停止命令を出せるようにする。
消防法規制の問題もある。現状では、火災事故後の後追い改正となっている。1987年の特養の火災を機に消防法を改正。1000平米以上の施設にスプリンクラー設置を義務化した。その後、06年のGHの火災を機に275平米以上へ、10年のGHの火災を機に275平米以下も対象となった。この共同住宅の届け出は「下宿」。消防法令上の違反はなく、問題の根は深い。
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