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阪神、西武、広島の3球団で合計15年間投手として活躍し、通算22勝48ホールド(17敗)の成績を収め、昨年引退した江草仁貴さん。現在は広島市で機能訓練型デイサービスを経営している。セカンドキャリアとしてなぜ介護の道を選んだのだろうか。

 

──現在運営しているデイについて教えて下さい。
江草 昨年7月に広島市内で開設した「レコードブック広島住吉」です。定員は当初は10人でしたが、現在は15人です。現在、私は大阪で大学野球部のピッチングコーチもしているため、デイに顔を出せるのは週2日ですが、出勤した日は自分で送迎したりもします。

 

──自身のセカンドキャリアを考え始めたのはいつごろからですか。
江草 2012年に、阪神からトレードで西武に移りましたが、たった1年で再び広島へトレードされたことで、プロ野球選手としての先行きに不安を感じました。しかし、このころは引退後に何をしたらいいか全く考えられませんでした。

 

──介護に目を向けたきっかけは。
江草 2度目のトレードのころに、マネージメント会社スポーツビズと契約し、セカンドキャリアに関する支援を受けることになりました。そこで「自分には何ができるのか」をじっくり考える機会がありました。

 

プロ野球選手のセカンドキャリアというと飲食店経営が一般的ですが、飲食店は「今日100万円売り上げても明日はゼロかもしれない」という不安定さがあります。介護はそれに比べれば安定していると考えました。また私は広島県福山市の実家では祖父母と住んでいたこともあり、お年寄りが好きでしたし、祖母がデイに通っていて馴染みもありました。そこで介護事業をセカンドキャリアに決め、シーズンオフになると様々な介護事業所を見学してまわりました。

 

──引退後も野球に関わる、という選択肢はなかったのですか。
江草 球団からは「バッティングピッチャーとして残って欲しい」と声はかかりました。しかしプロになって4~5年目ごろから首のヘルニアを患い身体がきつかったこともあり、実際に身体を動かす形で野球に携わるのは止めました。

 

──デイに決めた理由、レコードブックのフランチャイズに加盟しようと決めた理由はなんでしょうか。
江草 少資本で始められることから、デイかショートステイを考えていました。私自身が現役時代にトレーニングをするときに、インナーマッスルを鍛えることを重視していたこともあり、機械に頼らない機能訓練を行うレコードブックがいいだろう、と考えました。

 

──元プロ野球選手が運営するデイ、ということで何か特徴はありますか。
江草 ケアマネに対しても、利用者に対しても、私が元プロ野球投手であったことは前面に出しており、施設内には私の物や他の選手のユニフォームを飾ったりしています。カープのユニフォームを着てデイに通う利用者もいるなど、カープファン、野球ファンを取り込む、ということについてはある程度成果を見せています。
また、独自の取組みとしてシナプソロジーも導入しています。フランチャイズ本部(インターネットインフィニティー)の別宮圭一社長も、今後、プロアスリートにセカンドキャリアとして加盟してもらうことを呼びかける上での成功モデルが必要と考え、私に対しては「協力するので何でもやって構わない」と応援してくれています。

 

──今後の目標は。
江草 これまでのキャリアの中で経営を学ぶ機会がなかったので、経営の難しさを実感しています。まずは利用者を多く獲得し、経営を軌道に乗せることです。この事業を始めるときに3事業所運営を目標として掲げたので、そこに向けて事業を拡大していきたいと考えています。

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