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神奈川県は11日、第28回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」を開催した。

今回のテーマは「健康長寿に向けた未病改善~健口(けんこう)習慣を広げるには~」。黒岩祐治知事は、未病対策には口腔機能維持が鍵と指摘。ボランティアなど民間と行政が協力してそれを推進することを期待した。

 

 

改善で介護費124億削減可
“ 対話の広場” は、県民と知事が直接意見交換をする機会の創出を目的としている。その回のテーマに合わせた有識者が招かれ、前半では有識者によるプレゼンテーション、後半ではそのテーマで知事と一般参加者による意見交換が行われる。

 

 

冒頭の挨拶で黒岩知事は、「医療・介護費削減には、食・運動・社会参加からなる未病対策が重要である」と語った。そして「食には口腔機能が大いに関わる。その機能が低下すれば、食事から運動機能、社会参加の問題へと連鎖する」と、口腔機能の低下が全身の健康を損なうことを指摘した。

 

 

有識者として招かれた、東京大学高齢社会総合研究機構飯島勝矢教授はプレゼンにて、フレイルには身体状況だけでなく、社会的、心理的な側面も関係していると述べた。運動習慣はあるが地域活動には参加しない人とその逆の人では、前者は後者と比較してフレイルのリスクが約3倍高いとのデータを示し、対策にはコミュニティーづくりの観点から取組む必要があるとした。

 

 

また、4年間の追跡調査の結果から「咀嚼力が弱い」、「むせが増えた」、「滑舌の低下」などの口腔機能が低下したオーラルフレイル群は正常群と比較した場合、要介護認定率は
2.35倍、死亡リスクは2.09倍高まることを示した。

 

 

高齢者4割が該当

続いて、一般社団法人神奈川県歯科医師会佐藤哲郎常務理事は、2016年に実施した3297名の高齢者を対象とした調査において、1431名(43.4%)がオーラルフレイルに該当したという結果を提示。ささいな口腔機能の低下を見逃さないことが重要だと語った。

 

合わせて、海老名市で効果検証を実施した独自開発の改善プログラムにより、56.4%の高齢者に改善効果が見られたという結果を紹介。「このプログラムが神奈川全域に普及すれば124億円の介護費削減が期待できる」と述べ、歯科医師会では今後普及に努めるとした。

 

 

意見交換の時間では、参加者から「地域の一員として、オーラルフレイル対策に貢献したいが、私には何ができるのか」という質問が挙がった。それに対し黒岩知事は、口腔体操などの普及に努めて欲しいと回答し、「民間と行政のアクションが合わさったときに、最も大きな効果が得られる」と、市民の役割に期待を寄せた。

 

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