社会福祉法人亀鶴会(東京都羽村市)の特別養護老人ホーム神明園(同)では、熊本県の施設および市内の3施設、遠距離・近距離両方の災害時の応援協定を結んでいる。災害時には、「災害発生から数日間は迅速に対応可能な市内の施設でカバーし合い、長期的には遠隔地からの支援を受け入れる」といった、2段構えで支援体制を確立する計画だ。
遠距離の応援協定は、熊本県の特養グリーンヒルみふね(以下・みふね)と結んでいる。遠距離であれば地震・台風などの災害時に、両方の施設が被災するリスクを回避できる。
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市内・遠隔地と協力体制
しかし遠距離の施設間ではお互いの内情が知り難く、災害時にスムーズな支援・受援体制が整わない。そのため、神明園とみふねは年1回、1週間の期間で交換研修を実施するなど、普段から交流の機会を設けている。「3年前からこの交換研修が始まりました。毎年交代で2人が研修に行きます」(役務部中村直人部長)
この協定が結ばれたきっかけは、2016年4月の熊本地震だ。両施設はフェイスブックを通じて交流があり、みふねが被災したという情報が届くと、神明園の中村正人園長は支援を考えるが、具体的にどのような方法で行うかという課題に直面し、実現には至らなかった。その後6月に改めてみふねを訪問し、施設長と対談。この経験から、遠隔地の施設との援助関係の重要性に気づき、応援協定に至った。
市内3施設(神明園・特養多摩の里 むさしの園・特養羽村園)の応援協定も熊本地震がきっかけとなっている。近距離の応援協定では、顔の見える関係を活かし、毎月1回合同の防災ミーティング、合同の防災訓練などを実施。また、3施設の備蓄品リストを共有しており、災害時にお互いの物資を有効活用できる体制だ。
今後は行政の防災計画との整合性も取りつつ、防災ネットワークづくりをさらに進展させ、地域全体の備災力の向上を目指す。
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