「ちびっこヘルパー」などの取組み披露
一般社団法人日本介護協会(神戸市)が主催する「第九回介護甲子園」の決勝大会が2月27日、大阪市内で開催され、7671件のエントリーの中から1次予選・2次予選を勝ち抜いた6つの事業所が、各15分の持ち時間でプレゼンテーションを行った。
要介護者向けツアーを実施
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今回は観客席数を減らしたほか、会場内でのマスク着用の徹底・入口での体温測定などの対応策がとられた。
決勝大会に駒を進めたのは、当日の登壇順に、在宅部門が、通所リハ健康の家(福井市)、太田下町デイサービスセンター(高松市)、デイサービス結いの家文京台(北海道江別市)。施設部門がが、さわやか桜参番館(秋田市)、グループホームフジ(愛知県豊橋市)、グループホームあおぞら(大阪府大阪狭山市)。
通所リハ健康の家は、法人の枠を超え地域で活動しているボランティアグループが13年前より事業所内にあることを紹介。施設利用者も参加して行われた温泉旅行では失語症の人が宴会で大きな声で歌っていたエピソードを披露し、「『利用者を幸せにしたい』と思って始めた活動だったが、いつの間にか自分たちの幸せになっていた」と締めくくった。
太田下町デイサービスセンターは、利用者の「自分史」を作成する取組みを発表。当初は、利用者も「私は作らなくていい」と消極的だったが、「自分史は家族へのメッセージ」など作る目的を明確化し、利用者の気持ちを前向きにさせたこと、本人にはサプライズで、家族などを招いて完成した自分史の贈呈式を行うなどのエピソードを披露した。
「要介護になっても旅行を楽しんでもらいたい」と、旅行業の登録をし、「夢たび」のブランドでヘルパーが同行する旅行サービスを行っていることを発表したのがデイサービス結いの家文京台。昨年は、デイ利用者を含め約350人が利用したことや、ALSの男性が20年ぶりに家族で旅行に行き、温泉入浴を楽しんだケースなどを紹介した。
役割を与えて帰宅願望軽減
さわやか桜参番館は、入居者家族とホームをつなぐメッセージとして、開設してから1年半、毎日ブログを更新していることを紹介した。ある入居者は、ずっとブログに名前や顔写真が出るのを拒んでいたが、ある日「ここにいることが心から楽しいと思える様になった。入居を隠す必要がないのでブログに出てもいい」と語った出来事を発表した。
グループホームフジの発表のテーマは「『帰りたい』と言わせているのは私たちでした」。
帰宅願望が強い女性入居者に対して、歌レクリエーションの進行係を任せるなど、元教師という経歴を活かした役割を与える取組みを行った結果、1年後には「私は、ずっとここにいてもいいですか」というセリフが出るようなったエピソードを披露した。
グループホームあおぞらは、小学校で行った認知症サポーター養成講座が縁で、小学生が「ちびっこヘルパー」として働いているエピソードを紹介。子どもの目があることで利用者もスタッフも「子どもの前で恥ずかしいことはできない」と言動や姿勢が大きく変わったという。最後は「介護を子どもたちに誇れる業界にしよう」と訴えた。
来年は2月25日 大阪で
審査員や来場者の投票の結果、在宅部門最優秀賞には、デイサービス結いの家文京台が、施設部門最優秀賞にはグループホームあおぞらが選ばれた。
次回の介護甲子園は2021年2月25日に行う。なお今回は東京・大阪・名古屋の3会場で行ったセミファイナル大会を、次回は北海道・九州を加えた全国5会場で実施する。
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