地域における相互協力を
1ヵ月前と世の中の様相が一変しました。新型コロナウイルス感染症が全国、全世界へと拡大し、介護業界においての影響も深刻さを増しています。制度改革をテーマとした本コラムですが、今回は新型コロナウイルス感染症に係る影響と対策について緊急寄稿したいと思います。
介護業界への影響は地域によって大きな差が生じています。感染拡大の進んでいる一部地域においては、デイサービス事業所の閉鎖や休業、利用控えによる影響が生じているその他サービスや、感染予防に向けた面会制限や外出自粛といった対応を徹底する施設が多くなっている中で、いまだ感染者の少ない地域では対岸の火事としてみており危機意識が乏しいところも少なくありません。果たしていつ終息を迎えるのか。その答えは誰にも予測できません。
しかしながら事態は長期化するとの前提にたち、最悪の事態をも想定した対策が必要です。高齢者ほど感染すれば重症化しており、我々介護事業者こそ最も強い危機感をもって感染予防に取り組んでいかなければなりません。すでに一部地域のデイサービス事業所では休業や利用控えから売上が半減した、8割減ったという事業所も後を絶ちません。
この状態が長く続けば、中小事業者を中心に倒産の可能性も高まります。介護事業者の倒産が増えれば地域金融機関の不良債権も増大し、地域経済の地盤沈下へも繋がります。こうした事態を予測し、「緊急事態」を迎えているとの認識にたち、行動していく必要があります。
デイサービス事業者は、厚労省より2月24日、同28日、3月6日に発せられた「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱いについて(第2報)(第3報)(第4報)」の内容を踏まえて、利用控えをしている利用者の自宅に訪問しサービス提供を行い、通所介護報酬の算定が可能となっておりますので、その対応策をしっかりとご検討ください。
そして、今後、更に大きな問題へと発展する可能性を秘めている事象が、大型の入所系施設での感染の発生に伴う、濃厚接触となった介護職の大量自宅待機といった事態を迎えた場合のサービス提供の在り方です。すぐに入所者の別の住まいを確保することは困難であることから、近隣地域の法人が相互協力し、サービスの垣根を超えて職員を融通しあう支援体制を構築することが重要であると考えます。
社会インフラたる介護サービスを途切れなく提供し続けることが我々の使命であり、このような時にこそ業界が一致団結し、この局面を乗り越えていかなければなりません。
斉藤正行氏
2000年3月、立命館大学卒業後、㈱ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。
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