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医療法人元気会(埼玉県所沢市)のわかさクリニックは、内科、神経内科、整形外科など多くの専門科がある。また、365日無休の外来診療と在宅医療を展開。2018年3月に多世代の地域住民の集いの場となる「オレンジタウン」を開設した。間嶋崇理事長に話を聞いた。

 

 

――オレンジタウン設立の経緯は。

間嶋 14年に在宅医療を始めてから、高齢者から医療的な悩みだけでなく、「杖をどこで購入したらよいか分からない」などの、生活する上での相談を多く受けるようになり、地域住民の漠然とした悩みを受けとめる場所が必要だと感じた。また、子育てをしているシングルマザーも孤立する傾向があり、集いの場を求めていると思い、多世代交流の場となるオレンジタウンを設立した。

 

 

 

 

――施設はどのように活用しているのか。

間嶋 1階はカフェ、イベントスペース、保育園が併設されている。イベントスペースでは、麻雀大会やカラオケ大会、ダンスイベントなどを開催。麻雀大会は盛況で多いときは、約200名が参加しており、男性参加者も多い。イベントなどを通じて、地域住民の交流が生まれたり、地元の高校生が手伝いに来たり、常連の利用者がMCIの人に優しく接したりと見守りの役割も果たしている。また、ハロウィンでは利用者が保育園の園児にお菓子を配るなどの交流も行っている。

 

2階はクリニックの在宅医療課と居宅支援事業所となっており、近隣の訪問看護ステーションと連携しながら医療・介護が一体となったサービスを提供している。

 

 

 

――医療法人が集いの場を運営することのシナジーは。

間嶋 当クリニックのスタッフはこの地域で元々暮らしていた人が多いため、患者とスタッフが自然と話しやすい。また、オレンジタウンは職員専用の入口を設けていないため、患者がスタッフに気軽に相談できる環境になっている。スタッフは困っている人がいたら、声をかけるように心掛けており、看護師やケアマネジャーなどの適任者につなげている。また、併設しているカフェで患者とスタッフが一緒に昼食を食べながらコミュニケーションを取り、地域のニーズを引き出していることもある。

 

所沢市社会福祉協議会が、通院のための車椅子を高齢者に無料で貸し出すサービス「車椅子ステーション」の場にもなっている。患者の容態に応じて、在宅医療に移行するように促すなど橋渡し的な役割も果たしている。当クリニックの在宅患者数は1000名ほど、そのうちの約2割が外来からの移行や地域住民からの電話・駆け込みの相談なので、地域住民にクリニックが在宅医療を行っていることが周知されている。

 

 

 

――多職種連携の場としても活用している。

間嶋 近隣施設のケアマネや訪問看護師などに向けて、3ヵ月に1回程度の頻度で勉強会を開催、多いときでは約100名が参加している。勉強会では、がんの緩和ケア、高齢者の周辺制度、ケアマネの困りごとの相談対応などをテーマに行っている。参加者が本音で話せる環境を構築したいので、勉強会の後は親睦会も行っている。

 

 

 

――今後については。

間嶋 介護保険や公的なサービスも知らない人、病院に通えない人など、生活の困りごとがある人は多く存在しているので、オレンジタウンが悩みを持つ人たちの相談の場になって欲しいと考えている。また、利用者が継続して通える環境を構築していきたい。

 

 

 

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