関西の介護・医療関連企業7社による「採用同盟」が発足して2年目を迎えた。メンバーの1社である社会福祉法人あかね(兵庫県尼崎市)は採用同盟をはじめとするユニークな採用活動で知られている。松本真希子理事長に、理想の採用活動の在り方についてインタビューした。
「社長と話せる」学生の間で好評
――採用同盟を作ったきっかけは。
松本 当法人では、これまでにも新卒採用に関しては「六甲山の山頂に自力で来た人に内定を出す」「大学キャンパスやカフェなど希望する場所に面接官を派遣する」など、ユニークな活動を行ってきました。しかし1法人で取組むには情報発信などに限界があると感じていました。そこで、複数の法人でまとめて行なおうと考えました。同業他社はこれまでは「限られた人材を取り合うライバル関係」でした。しかし、複数企業が協力し合うことで、新たな人材を呼び込めたり、ある企業では採用に至らない人材でも同盟内の他社で採用できたりなど、様々な効果が生まれます。
――これまでの活動実績は。
松本 「介護医療企業経営者・人事担当者と直接語らう座談会」を複数回行ったほか、学生が自分自身のプレゼンテーションを行い、それに対し我々がその場で内定などを出す「ドラフト会議」を開催しています。
情報発信力など向上
――参加した学生の反応は。
松本 「複数の経営者と直接話せる」ことが、特に経営学を学んだり、将来経営者を志したりしている学生から非常に高く評価されています。参加した学生が次のイベントに友人を誘ってきてくれたりします。
学生が、卒業後すぐに同盟参加企業に就職してくれることは多くはないでしょう。しかし、どのような道に進んでも一度は自分の将来について立ち止まって考えるときがあります。そのときに採用同盟を思い出してもらえれば、と考えています。
――逆に課題はなんでしょうか。
松本 参加しているのは介護・医療関連企業だけですので、福祉系以外の大学や学部の学生に向けてどのようにアピールしていくか、という点です。
――あかねとして、今後採用について考えていることは。
松本 採用する人材の多様化です。例えばSNS活用の専門家などです。今の時代、YouTube、Facebook、InstagramなどSNSを使った情報発信は不可欠です。しかし、私を含め現在の経営陣の年代では、これらのツールを十分に使いこなすことができません。
また、外国人の採用にも力を入れていきます。「日本人が働きやすい企業」をつくるのは難しいことではありません。しかし、言葉や生活習慣、食生活や文化が異なる外国人が働きやすいのは、企業としてもう一段階上でしょう。そのステージを目指します。
介護業界では、インドネシア人やベトナム人を採用する動きが盛んですが、当法人では韓国人採用を考えています。学歴社会の韓国では、必死に勉強して優れた成績を収めても就職できない若者が大勢います。そうした優秀な人材を採用していきます。
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