【連載第129回 超高齢社会の相続対策】
新型コロナウイルスの影響と税金
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、所得税、贈与税、個人事業者の消費税の申告期限が4月16日まで延長され、それに伴い、振替納付日が所得税は5月15日、消費税は5月19日に変更となっております。また、体調不良など新型コロナウイルスの影響により4月16日までに申告ができない場合、17日以降も申告を受け付けることになりました。
新型コロナウイルス感染の影響により、経営が苦しくなる中小企業も増えており、助成金や借入の申請の検討の相談も増えております。そのような状況下で、役員報酬の減額を余儀なくされる企業も少なくないのではないでしょうか。
役員報酬は法人税の規定では、「定期同額給与」に該当しないものは、経費に出来ないこととなっています。「定期同額給与」とは、毎月決まった時期に定額を支給することをいいます。自己都合で支給額を変更しますと、法人税の計算上、費用として認められなくなってしまいます。役員報酬の改定は原則として、定時株主総会で決定することとなっています。
ただし、業績悪化改定事由に該当する場合はこの限りではありません。すなわち経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由により、役員報酬を減額した場合は、法人税法上その改定を認めることになっています。
業績悪化改定事由とは、倒産寸前のような状況はもちろんのこと、業績が悪化し資金繰りが悪くなり、支払いが滞ってしまうなど、取引先からの信用を失いかねない場合なども該当します。
今回の新型コロナウイルス感染による営業の自粛要請の影響等による業績の悪化は、この業績悪化改定事由に該当すると考えられます。したがって、臨時株主総会を開催して、業績悪化改定事由に基づき役員報酬の減額をした場合、法人税法上その減額は認められることとなります。
新型コロナウイルスの感染拡大はいつ終息するか分からず、先の見えない状態となっています。今後、税務申告についても、様々な対策が打ち出されてくるかと思われます。情報のチェックをしてください。経営者の皆様が、どうかこの難局を乗り越えられますよう、切に願っております。
<税理士法人 新宿総合会計事務所>税理士 清水智明氏
1995年事務所設立。2010年より相続業務を一括で受任する「ワンパック相続」®を展開。
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