新型コロナ再拡大に懸念
新型コロナウイルス感染症拡大で、厚生労働省は介護報酬の特例的な取り扱いを講じてきた。再拡大の懸念が強まる中、特例延長の可否や期間が注目される。国の第2次補正予算事業も活用し、介護クラスター防止などの対策強化が業界全体の急務だ。
7月に入り東京都における新型コロナウイルスの感染者が2日連続で100人を超えるなど、首都圏を中心に再び感染者の増加が目立つ。介護業界では「次の波」に備えた新型コロナ対策が急務だが、ここに来て状況が変化。対策を加速しつつ再び臨戦態勢に入ることも視野に警戒を強める。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会(東京都千代田区、全国老施協)で新型コロナ対策チームを統括する木村哲之副会長は「収束への流れが変わるかもしれない。われわれも対応を強化する可能性がある」と危機感をあらわにする。全国老施協は「広域感染症災害救援事業」として衛生用品・防護用品を各都道府県等老施協に供給することなどを決めているが、会員施設への警戒呼びかけなども急ぐ考えだ。「介護施設はクラスター化のリスクが高い。第1波のときと同様、対策チームで徹底した感染防止策を講じていきたい」(木村副会長)
第1波の収束の判断は、介護報酬の特例などにも影響する。厚生労働省がこれまで通知してきた「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」は第13報に及ぶ。特例のほとんどは時限措置で、社会情勢が平常状態に戻った際に解除や終了されるのが原則だ。7月1日時点で特例は継続されているが、事業者にとっては、終了時期や、逆に状況が悪化した場合に新たな特例があるのかという不安が根強い。
神奈川県のデイサービス事業者は「報酬区分の2段階アップを活用している。ただ、制度が複雑で、利用者の同意書が必要になるなど手間がかかる部分もある」と話す。加算は利用者負担増につながるため、長期化も気になるという。
加藤勝信厚労大臣は6月22日の経済財政諮問会議で、2021年度の介護報酬改定を通じた対応力強化に言及。一歩進んだ措置も今後想定される。2日時点で最新通知は「介護報酬等の請求(7月提出分及び8月提出分)の取扱いについて」。通常期日後の請求を認めている。
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