自立支援・重度化予防
7月8日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で、公益社団法人日本看護協会(東京都渋谷区、日看協)は、2021年度の介護報酬改定において看護小規模多機能型居宅介護(以下、看多機)における自立支援・重度化予防の評価を高めることを求めた。1日には同協会の福井トシ子会長が厚生労働省を訪れ、老健局の大島一博局長に要望書を提出している。
介護でも感染予防対策加算
オンラインで開催された社保審介護給付費分科会では、同分科会委員で日看協常任理事の岡島さおり氏が看多機の現状を報告。利用者の6割が要介護3以上の中重度者で、小多機に比べ医療ニーズ対応や看取り対応が多い現状や、看多機では、看護師によるアセスメントに基づいて「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを柔軟に組み合わせたケアを提供できるメリットを説明。
また、18年度の調査に基づき、自立支援・重度化予防のためのケアを多職種連携で提供することで中重度の利用者の状態が改善したことを示した。
岡島氏は、日看協として「介護施設などにおける褥瘡マネジメントや排せつ自立支援、経口摂取支援等への評価と同様に、看多機における自立支援や重度化防止に資するケアを評価するよう要望する」と述べた。
さらに、看多機の機能強化や設置促進に向けた取り組みとして、
①介護保険サービスによる看多機と訪問入浴介護の併用
②看多機の空床利用による緊急ショートステイ(短期利用居宅介護費)の単価引き上げ
③サテライトを有する看多機の体制強化加算の算定要件見直し
を21年介護報酬改定で検討するように求めた。
サテライト型事業所の開設に関し、事業者側は当初、本体の看多機から利用者の一部が移動するケースが多い。それまで本体で算定していた体制加算(看護体制強化加算、訪問体制強化加算)などが算定できなくなる場合があり、サテライト型の設置に慎重になる傾向がある。
そうした状況を受けて日看協は、本体事業所とサテライト事業所の実績の合算で算定することを提案した。
日看協は1日、福井会長が厚労省老健局を訪れて「令和3年度介護報酬改定に関する要望書」を提出。看多機の自立支援・重度化予防の評価や設置促進に加えて、
▽訪問看護ステーションにおける「認知症ケア連携加算」の新設
▽認知症専門ケア加算の算定要件である「認知症介護指導者養成研修の修了者の配置」を満たす資格要件に、認知症ケアに関して専門性の高い看護師を加えること
▽特別養護老人ホームにおいて、重度者の安定した受け入れや看取り体制確保のため看護師の夜間配置の加算
――などを要望。
さらに新型コロナ禍を受け、介護施設などが感染管理の専門性の高い看護師との連携を通じて感染予防の体制整備を行った場合にも「感染予防対策加算」を算定できるように求めている。
この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow @kj_shimbun