半年かけて小学生と交流
社会福祉法人近代老人福祉協会(横浜市)が運営する特別養護老人ホーム「ニューバード獅子ケ谷」では、隣接した水田や畑を活用して地域交流を進めている。元々施設の周辺には水田や畑などが広がり、自然溢れる環境だった。開設時に地域住民から水田などをなくさないでほしいとの意見を聞いていたため、水田や畑を残したまま開設した。
水田は近所の小学校の稲作の体験学習で利用され、5人の稲作指導員や地域住民と協力して管理している。5月に田んぼの草取りから始め、田植えや案山子の設置、稲刈りまで行う。12月には収穫祭として脱穀した米を施設内で餅つきをして皆で食べる。普段経験できない稲作を体験できるため、小学生たちからは「毎月田んぼに行くのが楽しい」、「自分で育てたから格別に美味しい」などの声があがるという。
また、畑ではカボチャやナス、さつま芋などの季節の野菜も育てている。広大な畑を全て自分たちだけで収穫するのは大変なため、近所の幼稚園児や保育園児などに手伝ってもらっている。具体的には、子供達には収穫した中から好きな野菜を持ち帰っていいと伝えているため、大きな野菜を採ろうと一生懸命に手伝うという。畑で採れたカボチャやナスなどを用いた野菜カレーは、「施設から見える畑の野菜だから格別に美味しく感じる」など利用者から好評だ。
辻田恭子施設長は「開設時に周囲の関係者から田んぼの管理は大変ですよと言われましたが、近所の老人会や小学校の先生、子どもたちと協力して行うことで継続できています。利用者が自発的に稲作のやり方を子供たちにアドバイスする所や、一緒になって芋掘りをする姿をよく見ますので、この環境を残して良かったと強く感じています」と語る。
この施設は江戸時代の農村の生活を展示した「みその公園 横溝屋敷」に隣接。「みその公園 横溝屋敷」からは稲作の農具の貸出など、地域性を生かして交流している。
【事業所概要】
名称:ニューバード獅子ケ谷
類型:特別養護老人ホーム
定員:80名
事業主体:社会福祉法人近代老人福祉協会
住所:神奈川県横浜市鶴見区獅子ケ谷
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