文書負担軽減策
ICT化を促進
第5回社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会が11月27日開催され、中間とりまとめ案が提示された。中でもICT化施策について、既存システムを活用した新しい入力フォームの運用を3年以内に実現すべく、2020年度中に検討することが新たに示された。
老施協・全老健、介ホ協要望
全面的にとりまとめ案へ反映
とりまとめ案には、①提出書類や提出方法などの簡素化、②各自治体ローカルルール解消による標準化、③効率化のためのICT化、の3つが方向性として示されている。
①簡素化では、押印について「申請者が介護報酬等の支払いを受けることを認めるにあたり前提となる事項に関する申請について、押印を求める」とし、具体的には「指定(更新)申請書」「誓約書」「介護給付費策定に係る体制等に関する届出書」のみを対象とする。また、押印した文書をPDF化し、電子メールなどにより送付することも可能に。
また、11月15日に全国老人福祉施設協議会と全国老人保健施設協会が厚労省に提出した「『介護職員処遇改善加算』及び『介護職員等特定処遇改善加算』の様式の統一化等に向けた要望」を受け、とりまとめ案に「処遇改善加算及び特定処遇改善加算に関する計画書等を一本化する」と記載された。これについて老施協の舛田和平委員は「とりまとめ案にかなりの部分を記載していただいた。事故報告書の様式なども次の課題として提起したい」と意見を述べた。
②標準化では、「様式の改訂について、改めて周知を図る」とし、老人福祉法施行規則の改正や設置の届出・変更について法律に明記のある老人福祉法の規定の見直しも含めて検討するとしている。
③ICT化では、3年以内の取組みとして、申請や報酬請求に関する届出などの入力項目の標準化とウェブ入力の標準化について「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」の機能を参考にしつつ、20年度中に検討するとしている。
厚労省担当官は「ブラウザ入力ですべて申請が終了するのがゴール。イメージは今後の検討で練り上げる」と語った。新規でシステムを構築するのではなく「介護サービス情報公表システム」基盤を用いて制作。20年度中に検討、21年度中に開発というスケジュール感で進めるとした。
当初厚労省は①簡素化、②標準化の順番で施策を行ったのち、最後に③ICT化を行う、としていたが、全国介護付きホーム協会は「ICT活用を早期実現すべき」との趣旨の意見書を10月16日に提出。今回の中間とりまとめでは①簡素化ののち、②標準化、③ICT化を同時に進めると明示された。同協会の遠藤健代表理事は「意見書に提出した内容はすべて汲んでいただけた。簡素化が進むよう協会としても努めていきたい」と語った。
今後は定期または随時検討会を開催し、各事業者の意見や専門家からのヒアリングなどを行い、細かな検討を行うとしている。
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