静岡県で考案された「介護マーク」が10年を迎え、全国の地方自治体に取り組みの輪が広がっている。今月から神戸市も配布をスタート。累計で500以上の市区町村が作成・配布を行っている。
静岡県では2009年7月に、認知症の介護家族者との意見交換会の場などで「認知症の人の介護は、外見では介護していることが分かりにくいため、誤解や偏見を持たれて困っている。介護中であることを表示するマークを作成してほしい」という要望を受けた。そこで、介護中であることを周囲に伝えるための介護マークを全国で初めて作成した。
静岡県での取り組みを受けて厚生労働省も11年12月に各都道府県宛てに介護マーク普及に関する通知を発出。地方自治体の取り組みを後押ししている。その結果、茨城、栃木、新潟、長野、岐阜、愛知、島根、佐賀の9県は県全体で取組みを実施。また、市区町村単位での導入も広がり、現時点で全国518市区町村が配布を行っている。
元々は認知症の人の家族による要望からスタートしたが、様々な障害においても介護者は誤解や偏見を受けやすい。
特に外出先では「トイレで、異性の介護者が付き添う際に、周囲から冷ややかな目でみられて困る」「車の乗降介助の際、パッシングされた」などの嫌な経験をした人は多い。現在、「介護マーク」は認知症の人の介助者だけでなく幅広く活用されている。
「介護マーク」を名札ケースに入れて首から下げることで、自然に介護者であることを伝えられる。
「発祥の地」である静岡県では、独自の取り組みとして、普及に協力する事業所を「介護マーク普及協力事業所」として指定。県から指定書を交付し、県ホームページで事業所名を公表している。県長寿政策課介護予防班によると、昨年9月末時点で1008事業所が指定を受けているという。
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