新社長インタビュー
1月29日、高齢者住宅運営の日本ロングライフや在宅介護事業のエルケアなどを傘下に持つ、ロングライフホールディング(大阪市)の新社長に桜井ひろみ氏が就任した。遠藤正一前社長が創業以来育てあげてきた企業をどのように引継ぎ、さらに発展させていくのか。社長就任の経緯や、今後新たに取組みたいことなどについて話を聞いた。
──今回の社長交代の理由は何でしょうか。
桜井 前社長の遠藤は創業以来34期にわたり、当社の舵取りを行ってきました。遠藤自身60代の半ばになったこともあり、経営体制の若返りを図るのが大きな理由です。
入社して28年、現場も経験済
──自身に白羽の矢が立った理由については、どのように考えていますか。
桜井 私は入社して28年になります。長期間、遠藤前社長の経営に接しており、よく理解していることではないでしょうか。それに加え、介護現場の出身であること、女性であることもあげられると思います。
本社スタッフ6割が女性
──女性であることが理由のひとつと考えられるのは?
桜井 男女差別をするつもりはありませんが、介護業務は女性の目線・考え方が非常に重要です。もともと生活に密着したサービスを提供しますし、利用者の多くが女性です。また、現場スタッフの多くが女性です。女性が十分に力を発揮できる環境でないと、会社の発展は望めません。
そうした考えから当社では女性の登用に力をいれてきました。本社のスタッフは6割が女性ですし、ホールディング傘下の事業会社も、1社を除いて女性役員がいます。
──新社長として、経営面で力を入れていくことは。
桜井 ここ数年、各事業会社は、売上は伸びていますが利益率が低下していました。まずは売上・利益率ともにアップする体制の構築です。
そのためにはまずは人員の確保です。営業活動にもっと人手を割く必要があります。またニーズがあるのにスタッフが応じきれないため、稼働率を上昇させられない事業所もあります。今年4月入社の新卒学生を40名採用するなどしていますが、それ以外にも処遇改善や業務効率化などによる離職防止を図っていきます。
──現在の処遇改善の取組みでユニークなものはありますか。
桜井 高齢者住宅のスタッフは、入居者と同じ食事を250円で食べられます。入居者は950円で食べていますから、かなりお得です。スタッフの中には昼食は毎日コンビニエンスストアで買ったもの、という人も少なくありません。栄養バランスなどの健康面だけでなく、利用者と同じものを食べることで「今日の○○は美味しかった」など会話が弾むことも期待しています。
「集中席」で仕事にメリハリ
──業務効率化の面では。
桜井 昨年4月に本社オフィスをリニューアルし、フリーアドレス方式としました。決まった席がなく、どこでも自由に仕事ができます。異なる部署の人とのコミュニケーションが活発になり、新たなアイデアを生み出すきっかけにもなります。結果的に仕事がスムーズに進むことが期待できます。
一方で、仕事中に話しかけられることで集中力が途切れ、業務効率が低下することに悩む社員もいます。そこで「この席に座っている間は話しかけてはいけない」という決まりの「集中席」も設けました。1日中ここに座っているのは禁止ですが、1人で黙々と仕事をしたいとき、積極的にコミュニケーションを図りたいときでしっかりとメリハリをつけられる環境を整え、生産性が向上するようにしています。
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