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3ヵ月ぶり 家族との再会に歓喜

 

中国では今月に入り、新型コロナウイルス感染のピークがすぎ、徐々に普段の生活に戻り始めた。1月から介護施設が封鎖されていたが、ようやく出入り禁止が解除され始め、入居者と家族が3ヵ月ぶりに再会する日を迎えた。

施設はお祭りのように賑わった

 

施設で暮らす80代の母親との再会を翌日に控えた上海在住の60代女性は「母とは約3ヵ月会ってないため、眠れないほどワクワクしている」と喜んでいた。

 

施設訪問当日、施設はお祭りのように慌ただしかった。スタッフは消毒剤や訪問者の健康状態の申告書類、体温計などを準備。午前9時には、施設前に10数名の訪問者が列になっていた。自分の親の好きな食べ物やプレゼントなど、いっぱいの荷物を抱えていた。

 

 

その日は95歳の女性入居者の誕生日だったので、家族はもちろん、スタッフもプレゼントとケーキを用意し、お祝いした。ほかの入居者や家族も一緒に「お誕生日おめでとう!」と「やっと会えてよかったね!」と涙を流しながら、お互いに喜びを分かち合った。

 

 

 

施設長は「3ヵ月という期間は非常に長く、色々なことがあった。施設封鎖については、一部の家族に理解してもらえず、激しい口論になったこともあった。入居者も情緒不安定や鬱になってしまった人もいた。いつもより何十倍も入居者の健康に気遣い、家族の協力も得なければならなかった。スタッフは身心ともに限界が来ていた。みんなよく頑張ってくれたと思う。今日という日を迎えてよかった。感無量だ」と目を赤くしながら語った。

 

 

 

 

現在、上海市の約700の施設では、政府が様子を見ながら徐々に封鎖を解禁していく予定だ。

これにあたっては
(1)面会時間は1日2時間。1時間で面会できるのは16名の入居者のみ
(2)入居者1名につき1名の家族のみ
(3)1週間前までに要予約
(4)面会の場所は施設の公共スベースのみ
などの規定が設けられている。

 

 

そうすることで、なるべく多くの入居者が平等に家族との面会ができるようになると政府は説明している。
現場のスタッフの並々ならぬ努力により、ついにこの日が迎えられることができたが、現状はまだ少しの油断も許されない状況だ。

 

 

王 青氏
日中福祉プランニング代表

中国上海市出身。大阪市立大学経済学部卒業後、アジア太平洋トレードセンター(ATC)入社。大阪市、朝日新聞、ATCの3社で設立した福祉関係の常設展示場「高齢者総合生活提案館ATCエイジレスセンター」に所属し、広く「福祉」に関わる。2002年からフリー。上海市民政局や上海市障がい者連合会をはじめ、政府機関や民間企業関係者などの幅広い人脈を活かしながら、市場調査・現地視察・人材研修・事業マッチング・取材対応など、両国を結ぶ介護福祉コーディネーターとして活動中。2017年「日中認知症ケア交流プロジェクト」がトヨタ財団国際助成事業に採択。NHKの中国高齢社会特集番組にも制作協力として携わった。

 

 

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