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住吉で特養・サ高住など運営

 

うどんの「杵屋」、そばの「そじ坊」などのレストランを、日本国内で427店舗(直営・フランチャイズ/2019年12月31日時点)展開するグルメ杵屋(大阪市)は、23年前に社会福祉法人ジー・ケー社会貢献会を設立して介護事業を展開している。介護事業参入の経緯や今後の事業展開などについて社会福祉法人の理事長でもある椋本充士社長にインタビューした。

グルメ杵屋 椋本充士社長

 

 

 

東証一部上場の記念事業で開始

 

――レストランチェーンの御社が介護事業を始めた理由は何でしょうか。

椋本 当社は1967年に設立し、96年に東京証券取引所一部に株式上場しました。一般的には上場記念としては、パーティーをしたり、記念品を作って配ったりしますが、創業者で当時の社長であった椋本彦之は「何か社会貢献できる事業を開始して、恩返しをしよう」と考えました。
そこで、同年、社会福祉法人ジー・ケー社会貢献会を立上げ、翌年に住吉大社の近くに特別養護老人ホーム「グルメ杵屋社会貢献の家」を開設しました。

2012年にはサービス付き高齢者向け住宅と介護付有料老人ホームなどの複合施設「グルメ杵屋社会貢献大領の家」を開設しています。

当グループでは現在、機内食の調理販売、鉄道事業などの多角化経営を進めていますが、レストラン以外の事業展開はこれが初めてでした。

「大領の家」外観

 

 

合同研修実施で相乗効果

 

――レストラン事業の経験やノウハウは介護事業でどのように活かされていますか。

椋本 外食産業が母体ということもあり「食事は美味しい」という評判を得ています。また研修の一部はグループ会社と合同で行っています。ジー・ケー社会貢献会の職員にとっては、レストランなどサービス業の考え方や営業・マーケティング手法などを学ぶ良い機会になります。一方でレストランの店長には、ホスピタリティを学ぶために特養の仕事を体験してもらっています。こうした形で相乗効果が生まれています。

 

 

さらに、採用面においても、「杵屋」という一般の人によく知られたブランドがあること、東証一部上場企業のグループであるということが、求職者に安心感を与えるなどのプラスに作用します。男性の応募者が多いのも、こうした理由からではないかと考えています。

 

 

 

来年4月、府内に日本語学校設立

 

――今後の介護事業の展開については。

椋本 チャンスがあれば拡大していきたいと考えています。しかし、日本国内ではなく海外の方が可能性としては高いと思います。レストラン事業は10年ほど前から海外に進出し、現在は香港、インドネシア、アメリカで展開しています。「グループで介護事業を手がけている」という話をすると、現地の企業から「我が国でもできないか」「ノウハウを教えて欲しい」などの相談を受けるケースが増えています。

 

またジー・ケー社会貢献会の理事が海外で日本の介護・シニアマーケットなどについて講演することもあり、関心の高さを実感しています。

 

当社グループで、直接現地で介護事業を行うのではなく、アドバイザーやコンサルティングなどといった形でノウハウを提供する、という方法でならば検討の余地はあると思います。

 

 

――海外、といえば外国人人材の活用については、どのように考えていますか。

椋本 レストランでは多くの留学生が働いていますし、関西国際空港などで機内食の製造・販売などを手がけるエイエイエスケータリングでは20年4月時点で約100人の技能実習生を受入れており、今後さらに増やしていきます。
21年4月には住之江区の本社ビル内に日本語学校を設立し、ミャンマー、ベトナム、フィリピンからの留学生を主に募るなど、今後も外国人人材の受入れは進めていく予定です。介護においても外国人人材の活用は進むでしょう。

 

 

 

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