神奈川でグループホームなどを展開するバナナ園グループ(川崎市)と日清オイリオグループ(東京都中央区)は、アルツハイマー型認知症患者への効果が期待されている中鎖脂肪酸に関する共同研究を進めている。また、レクに参加している入居者の表情を解析して、その効果を客観的に評価する研究にも取り組んでいる。
日清オイリオグループは、40年以上前からココナッツオイルなどに含まれている中鎖脂肪酸の研究に取り組んでおり、3年前からバナナ園グループとの共同研究を開始した。
バナナ園グループが運営する若年性認知症デイサービス「でいサロン麦」において、実施。日清オイリオグループが販売する中鎖脂肪酸を含むスティックタイプゼリー「メモリオン」などを食事時や間食時に利用者に食べてもらい、笑顔、真顔、驚き、怒り、悲しみの変化を客観的に観察した。
その結果、摂取後は笑顔出現率が平均で約1割上昇するなどの成果を得た。「表情の乏しかった利用者に笑顔が増えた」「周囲に関心を示しだした」「睡眠障害が改善した」といったQOLの改善がみられたという。今年からはグループホーム「バナナ園横浜山手」でも同様の研究を開始している。
レク参加者の表情を解析へ
ほかにも、バナナ園グループは、グループホームで定期的に開催している狂言教室の参加者の表情変化を数値化し、客観的にレクを評価する研究も、日清オイリオグループと共同で行っている。
「狂言教室は7年前から開催している。入居者に『本物』を提供したいと思い、講師はプロの狂言師である和泉流の十世三宅藤九郎さんに依頼している」とバナナ園グループマーケティング開発部の柳谷朗部長は話す。
狂言教室は入居者が講師と一緒に発声したり動作をつけたりする参加型。この教室に参加している入居者の表情を家庭用ビデオカメラで撮影し、表情を解析。8ヵ月を通して行われる全8回シリーズの教室で行う。
日清オイリオグループ中央研究所の佐藤知栄実リーダーは、「バナナ園横浜山手では、中鎖脂肪酸を食事に取り入れてもらい、狂言教室との相乗効果が見られるか表情解析で確認したいと考えている」と話す。
研究は、来年3月まで行われる予定となっている。
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