社会福祉法人奉優会(東京都世田谷区)の特別養護老人ホーム「沓掛ホーム」(同杉並区・特養60床)は、入所者の入院率低下に向けた取り組みを実施しており、2019年度入院日数は17年度と比較で47%減となった。
同施設では「防げる入院は防ぐ」という目標の下、水分摂取と嚥下訓練に注力している。要介護度・様態に合わせた最適な方法で水分摂取ができるようサポート。
特に経口水分摂取が困難な入所者には、皮下点滴を取り入れたことが効果的であったという。
皮下点滴は静脈点滴により痛みが少なく、出血も少ない。水分は必要分だけ吸収され、浮腫など生じず負担が少ない。肺炎症状から看取り期に差し掛かった入所者に、誤嚥しない程度の水分と皮下点滴により回復した事例もある。
「看取り期の人が皮下点滴から持ち直し、食事量も回復して体調が安定した例も多いです」(京極亜貴介護主任)。
また、訪問歯科医の協力で最新の嚥下訓練も導入。咽頭に「ジェントルスティム」と呼ばれる機器の電極を貼り付け、1回15分間、干渉波(痛みのない電流)による刺激で喉の感覚を賦活化させる。これを週1回、口腔ケアと合わせて実施する。70代入所者のケースでは顎や舌の動きが改善、唾液量も増え嚥下反射も回復したほか、発熱の頻度も減少した。
これらの取り組みにより、17年度には776日だった入所者入院日数は、19年度には408日、47%減少した。
今後の目標について城間恒洋施設長は、「さらに入院率を減らし、20年度中には入院率を1パーセント未満にします」と語る。
これらの取り組みは、19年度の法人内事例発表会において、最優秀賞及び優秀賞をダブル受賞している。
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