ベトナムなどと入国制限緩和に向け調整

 

新型コロナウイルス感染症の感染者が日々発生する中、政府は4ヵ国と日本との出入国について、制限の緩和に向けた調整に入った。

 

その4ヵ国は、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドで、ビジネス関係者の短期出張や、駐在員や技能実習生などが対象とみられる(表参照)。特にベトナムからの実習生を心待ちにしている介護事業者も多いだろう。そこで今回は、出入国制限の緩和に備え、今やっておくべきことを記載したい。

 

 

今こそ準備を

 

ベトナムにいる人にヒアリングしてみると、国内の経済活動はだんだんと再開されている。学校をはじめ、ショッピングモールなども営業しているようだ。現地とのオンラインでの面接も開始されていることから、今まさに注目が集まっていることは否めない。実習生受け入れに向けた具体的な話が再度進み始めた法人も多いだろう。

 

ただ、特に初めて実習生の受け入れを検討している企業などは、今がチャンスとばかりに早まって物事を進めるのではなく、正確な手順を踏んだ上で準備を行うことが必要だ。

 

以前も紹介したが、
①監理団体への加盟
②実習受入基本契約の締結
③面接の申請(職種、人数、雇用条件など求人票の提出)

―といった手順を必ず踏んでほしい。

 

 

この段階で、監理費の内訳について必ず説明を受けることや、基本契約では違約事項を理解して合意しておく必要がある。
手順を飛ばして面接を行うと、後々トラブルの原因になることが多くあるため、要注意だ。

 

 

また、今のうちに労務トラブルなどを解消していくことも必要だ。技能実習の摘発事例として特に多く取り上げられるのは、残業代の未払いだ。残業の見落としがないように、社員の出勤簿には目を通しておいてほしい。出勤簿と明細書と賃金台帳とを突合することが監理団体の監査項目にあるため、残業代の不払いは、監理団体からも指摘を受けることになる。

 

 

本格的な受け入れ再開に向けた準備期間ともいえる今だからこそ、まずは法令に則った環境整備に取り組んでほしい。

 

 

庄司孝正氏
ライフケア医療介護事業協同組合 専務理事

1999年から大手企業グループで介護保険制度スタートに伴う新規事業立ち上げプロジェクトに参画。以降およそ20年にわたって介護業界に身を置き、施設運営や企業経営などに従事。2017年からライフケア医療介護事業協同組合の専務理事を務めている。現在は監理団体での外国人技能実習制度に関する業務に携わるほか、介護分野における同制度の普及・啓発に向けた活動を行う。

 

 

 

この記事は有料会員記事です。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう