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【連載第4回】これだけやれば敏腕施設長  モデルをセットする!②

 

■「ロールモデル」ができたら

 

前号で〝敏腕施設長〞を目指すのであれば、〝手の届くロールモデル〞を見つけることが大事だとお伝えしました。しかし、あらゆる面で優れているモデルを、身近で探すのは大変です。

そこで「この分野はAさん、あの分野はBさんのようになりたい!」といった具合に、何人かのモデルを組み合わせて、架空の「理想的な施設長」をつくりあげる方法をご紹介しました。さらに、その施設長に近づくことを、強くイメージできるように〝名前〞をつけたら完璧です。そうしてロールモデルができたら、次にやるのはTTPです。

 

 

 

■最強のビジネススキル「TTP」

 

TTP(ティーティーピー)とは「徹底的にパクる(Tettei Tekini Pakuru)」の頭文字をとったものです。〝学ぶ〞の語源は〝真似ぶ〞ともいいます。「理想的な施設長」の行動を、徹底して真似する(パクる)のです。

 

 

■どれくらい真似るか

 

その人になりきるために、できれば〝すべて〞を真似たいところです。まずは以下のようなテーマで、どのような行動をしているかを観察してみましょう。

□立ち居振る舞い
□話し方
□話す内容
□使っている文具
□出勤時の行動
□退勤時の行動
□休憩のとりかた
□読んでいる本
□知らないことの調べ方
□勉強方法

そして実際にやってみると、だんだんその人の思考パターン、行動パターンがわかってきます。不思議なことに、ある境界線を超えると、同じような行動ができるようになってくるのです。

 

 

 

■私の経験談

 

私がコンサルタントの卵だった頃、師匠(理想)は、10才年上の直属の上司でした。とんでもない〝切れ者〞で、30代にもかかわらず大きな案件を次々に任され、あっと驚くような戦略を立案してクライアントから絶大な信頼を受けていました。数字に強く、講演家でもあり、涙を流す聴講者もいました。はじめて会ったときの印象は「絶対にあんな人にはなれない」と、ある種の絶望感を感じたものです。

 

しかし困ったもので、超多忙なため、ほとんど会うことができません。それに〝名選手名監督にあらず〞と言いますが、この言葉がピッタリはまる人で、質問をしても「そんなもん、ちょっと考えればできるだろ」が口癖でした。丁寧な指導など、受けた記憶が一切ありません。きっと皆さんの周りにもいるはずです。仕事はできるのに、教えるのが絶望的に下手な人が。

 

 

そこで私は、質問の仕方を変えました。仕事の方法ではなく、普段の〝行動〞を聞くことにしたのです。例えば「本は月に何冊読みますか?」「どこで買うんですか?」「どんな本を読んでいるんですか?」とたずねれば「月に10冊は読むな」「どんな本が売れているかを定点観測することは立派なマーケティングだから、行く本屋を決めているね」「ビジネス本のベスト3はすべて読むかな。あと、歴史を知らないとコンサルなんかできないから近代史や経済史は読むね」のように答えてくれました。そうなればしめたものです。しばらくの間はそれを真似てみるのです。

 

 

また、会議や講演では、話す内容、話し方を学ぶために、上司の講座があれば必ず参加してノート10ページくらいメモをし、終わったらブツブツと声に出して復唱して自分のものにしようとしていました。すると、半年後くらいでしょうか。成果が現れはじめて、周囲から「お前いつの間にか、○○さん(上司)みたいになってきたな」と言われるようになりました。

 

 

■TTPにも落とし穴が!

 

しかし、失敗がなかったわけではありません。私は上司より10才若く、上司と同じ態度でクライアントに向き合えば、失礼にあたることもあります。そのせいで「生意気だ」「言いすぎだ」と咎められたことも多々ありました。

皆さんも、TTPをする「理想的な施設長」とは、同一人物になることはできません。もしかしたら、性別も年齢も性格も違うかもしれません。そのあたりを考慮しながらTTPを実践し、自分なりに表現してください。そうすれば「敏腕施設長」への道のりは、最短距離で上ることができるでしょう。

 

 

糠谷和弘氏
㈱スターコンサルティンググループ 代表コンサルタント

介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設長&リーダーの教科書(PHP)」などがある。

 

 

 

 

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