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新型コロナが長期化している。そして、社会経済にも大きなダメージを与えた。新型コロナによるわが国の国内総生産(GDP)の落ち込み予想は、2020年4月~6月マイナス27%で、戦後最大、1929年の昭和の大恐慌以来ともいわれている。

 

医療機関もコロナ禍で戦後最大の経営危機だ。日本病院会などの調べによれば、コロナ禍で20年4月の医業利益率は前年同月に比べ、新型コロナ患者を受け入れている病院でマイナス12.2%、院内感染などで一時的に病棟を閉鎖した病院でマイナス15.7%、平均でマイナス10%となった。

 

 

思い返せば19年も医療界は波乱の年だった。4月からの働き方改革、9月に公表された公立・公的病院再編424病院リスト、10月の消費税率10%へのアップと続いた。そして年が明け新型コロナの拡大である。19年から20年にかけてわが国の医療界はダブルパンチ、トリプルパンチの2年間だった。

 

 

さて新型コロナの波状攻撃は長期化していく見通しだ。政府は新型コロナ対策にすでに2回の補正予算で合計60兆円をつぎ込んだ。60兆円とは1年分の税収、GDP600兆円の実に10%に相当する。

 

このままコロナ禍が長期化すれば、この先、財政はいったいどうなるのか。さらに厄介なことに、その先には団塊世代800万人が75歳以上となる2025年問題が控えている。25年、年金、医療・介護からなる社会保障給付費は140兆円、GDP対比で21%となる。疲弊した日本の医療・介護にこの2025年問題を乗り切ることができるだろうか。

 

こうした思いから、8月下旬に「新型コロナで医療が変わる」(日本医学出版)を上梓した。本書では、新型コロナ感染拡大を受けて団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題、団塊ジュニアが前期高齢者となる2040年問題を改めて俯瞰している。

 

すでに新型コロナによって「働き方改革」「地域医療構想」「医師偏在施策」の三位一体改革の再見直しもありそうだ。ぜひ本書を通じて、新型コロナで変わる医療について一緒に考えてみたいと思う。

 

 

 

武藤正樹氏(むとう まさき) 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

1974年新潟大学医学部卒業、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中86年~88年までニューヨーク州立大学家庭医療学科に留学。94年、国立医療・病院管理研究所医療政策部長。95年国立長野病院副院長。2006年に国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉大学大学院教授、国際医療福祉総合研究所長。政府委員等 医療計画見直し等検討会座長(厚労省)、「どこでもMY病院」レセプト活用分科会座長(内閣府)、中医協調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会座長

 

 

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