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【連載第5回】何のためにそれをするのか?

部下を成長させるコミュニケーション術

■部下の成長にブレーキをかける施設長
施設長として、部下に絶対にやってはならないことがあります。それは、部下を〝あやり人形〞にすることです。〝できる施設長〞ほど、気をつけた方がよいでしょう。

 

 

仕事の組み立てができるあなたは、部下を「次にこれをやらせて」「その次にこれをやらせて」と、思うがままに動かしたくなります。具体的に手順と完成レベルを〝指示〞し、指示通りにやっているかを〝監視〞し、できていなかったら〝注意(修正)〞するというやり方です。「とりあえず、この作業お願い」のように、作業の一部(一工程ずつ)を指示しているときも同じです。これを続けていると、部下は「あやつられている」「動かされている」と不快に感じるようになります。

 

 

ロボットではないのですから、自分なりのペースや手順、進め方はあなたと違って当然です。それを強引にねじまげているのですから、不快に感じるのも無理はありません。それにあなたのやり方を完全コピーさせるやり方だと、モチベーションを落とすだけでなく、部下があなた以上の成果を上げることも絶対にありません。部下の成長をも妨げているということを認識してください。

 

 

 

■こんな言い方もNG
自分ではあやつっている自覚がなくても、それがあなたの言葉にあらわれることがあります。あなたは普段、部下に対してこんな言い方をしていませんか?

 

「どうして、こうしてやらないの? 」(手順)
「なぜ、先にこの仕事をしているの?あの仕事を先にするように指示したよね?」(優先順位)

こう言われると、たとえあなたが正しいことを言っていたとしても、相手は否定されたと感じます。

 

 

「手順」「優先順位」を具体的に指示されると「あやつられている」と感じるのです。どうしても言いたいときは、以下のように「(下手の)お願い」「助言」置き換えるとよいでしょう。

 

 

 

お願い ◯◯を先にやってもらえると助かります
助言 こうやってやると、丁寧に、早くできるかもしれませんよ

 

 

■「目的」「期限」を伝える

部下を〝あやつり人形〞にしないためには「目的(〜ために)」「期限(いつまでに)」を伝え、あとは部下に考えさせるのが良いでしょう。
「手順」「優先順位」「完成度(どれくらいの仕上がりか)」の部分は、相手に委ねてみるのです。(※はじめて依頼する業務であれば〝最低限の情報〞は与えましょう)

 

 

 

特に「目的」を伝えることは大事です。例えばある施設長が、相談員に「パンフレットを30部、今日中に準備しておいて」と伝えました。数時間後、施設長のデスクの上にパンフレットが山積みに置かれていました。

 

次は「◯◯町の介護予防教室で参加者にうちの活動を案内するために、◯◯時までにパンフレットを30部お願いできるかな」と「目的」を添えて伝えてみました。すると、クリアファイルにパンフレットと広報紙をセットして、持ち運びやすいようにと、紙袋に入れて準備されていました。
期待以上の対応に、施設長は驚いたそうです。たったこれだけで、仕事ぶりが大きく変わるのです。

 

また、具体的に指示しないということは、失敗するリスクもあります。その失敗が、部下の次の成長の糧になるのです。

 

 

 

■最後のコメントが大事!
こんな感じで指示した仕事が仕上がってきたとき、指導が目的だとしても、できていない点を事細かに指摘することはやめましょう。よくできている点をしっかりと評価した上で、以下のように質問してみましょう。

 

「目的は◯◯だったね。それがクリアできそうかな?」(完成度のすり合わせ)
「難しかった点はどこだった?次はどうすれば良い?」(手順の検討)
「どれくらいの時間で仕上げようと思ったかな?実際、どれくらいかかった?」(適正時間の確認)

こんなやりとりが、部下を成長させるのです。

 

 

糠谷和弘氏 代表コンサルタント ㈱スターコンサルティンググループ
介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設帳&リーダーの教科書(PHP)」などがある。

 

 

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