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 「保健医療2035」策定懇談会の第1回シンポジウムが8月24日に東京大学で開催された。同会は、2035年を見据えて持続可能な保健医療政策のビジョンを示すことを目的に、塩崎恭久厚生労働大臣の私的懇談会として今年の2月に発足し、6月に提言書を作成した。

 冒頭で塩崎厚生労働大臣は「世界最高水準の保健医療システムを有する日本が高齢化社会をどう乗り越えるのか世界が注目している。世界的に高齢化が進んでいく中で、日本はモデルケースになる」と述べた。

 これまで保健医療政策が目標としていたのは、団塊世代が後期高齢者になる2025年だったが、同会は団塊ジュニア世代が後期高齢者となる20年後を見据えて「今、何をすべきか」を考えていくとしている。

 今後の方針について塩崎厚生労働大臣は、提言書の120項目のうち、すぐに実行可能な重点項目を9月初頭までに5種類に分類する計画。

 重点項目としては(1)かかりつけ医の役割を持つ総合診療医の確立・普及、(2)患者の価値をアウトカムに基づき診療報酬などの検討、(3)タバコ撤廃などを通じて予防医療の推進、(4)ICTによる医療環境整備、(5)官民一体となったグローバルヘルスを担う人材の教育、となっている。「今回のシンポジウムをきっかけに地方開催も検討し、今後の日本の保健医療を国民全員で考えたい」(塩崎厚生労働大臣)

提言項目を基に日本の課題討論

 その後、同会メンバーによるパネルディスカッションを開催。
 地域医療について、同会の座長を務める東京大学大学院医学系研究科の渋谷健司教授は「地域の話に正解はない。現場の知恵を集めて解決していくことが重要。世界を見ることで日本の医療の現状・問題点が分かり解決策を見いだせる可能性がある」と発言。

 総合診療医制度について、独立行政法人地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は「日本の医学部は専門医を育てるシステムになっているが、高齢者は複数の持病を抱えているケースが多いので、様々な病気に対応できる総合診療医は今後需要が高い。国も19番目の専門医としての『総合診療医』を認めたところ」と今後の普及に期待を寄せた。

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