7月5日に開催された第142回社会保障審議会介護給付費分科会では、訪問介護における生活援助の扱いが議題の中心になり、委員の意見が二分した。今後も長期的な議論が必要になるだろう。
主な論点は、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準や報酬の扱いについて。厚労省は生活支援のみの利用状況データを示した。(図参照)これに対して鈴木邦彦委員(公益社団法人日本医師会常任理事)は「介護を伴わない家事援助を介護保険の給付対象に認めるべきではないのでは」と発言。また、武久洋三委員(一般社団法人日本慢性期医療協会会長)も同様に自立支援の観点から、「同時改定を機に、介護保険制度の構造を見直すべき。保険給付の対象とする介護サービスは状態改善を目標としたものに集約を」と続き、回数や利用額について保険給付の上限を課すことや、生活支援の担い手を地域に移すことなどを支持した。
これに対して稲葉雅之委員(民間事業推進委員会代表委員)は「訪問介護とは身体介護と生活支援を併わせて提供するサービス。『生活援助』だけを切り出すことは危険」、瀬戸雅嗣委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事)も「生活を総合的に支えるサービスの提供は専門性が必要」と生活支援の切り出しに危機感を示した。
人材の配置や担い手の育成など、多方面に議論が波及していくことが予想される。
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