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厚生労働省は11月8日、中央社会保険医療協議会調査実施小委員会および総会を開催。当日の第21回医療経済実態調査報告によると、病院経営における厳しい経営状況は国公立・民間ともに悪化の一途をたどっていることがうかがえる。

医療経済実態報告 収支差率0.5%減少

この実態調査は、2016年度および2015年度の2期間について実施したもの。有効回答率は5割超。

1施設あたりの損益状況を見ると、一般病院の全体平均は、15年度の収支差率△3・7%から16年度には△4・2%となっており、マイナス0・5ポイントとなった。金額ベースでは、16年度は1億5707万円の赤字となっており、15年度より1807万円の赤字幅拡大だ。運営主体別では、医療法人で15年度よりマイナス0・3ポイントの1・8%、国公立においても△11・1%へと悪化している。事務局は「過去調査において3番目に低い数値である」として、この理由を「収益よりも人件費等の伸びが大きい」と分析した。

この報告を受け、猪口雄二委員(全日本病院協会副会長)は「概要のため精査が必要だが、経営は厳しさを増していると理解してもらいたい」と発言。精査分析について今村聡委員(日本医師会副会長)は「早急に検討したい。消費税分科会についてもできる限り早く再開を」と訴えた。

一方、荒井耕委員(一橋大学教授)は、16年度と15年度の比較について「制度改正前後の比較を狙ったものだろうが、3月決算の施設は半数ほどで比較にならない」とした。

医師の働き方改革

総会では、「医療従事者の多様な働き方改革」が議題に上った。医療機関における勤務環境改善の取組推進や医療従事者の常勤要件の見直し、医師の勤務場所に係る算定要件の緩和、看護職員の夜間等の負担軽減などが議論される中、松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「病院医師にとって当直は必須であり、学会出席など労働時間のみに勘案できないのが医師の仕事。他の職種とは大きく異なる」と言及。松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「病床規模の変更提案については、急性期、慢性期あるいは精神病棟などで内容に大きな違いがある」とし、加えて「女性医師の活用は喫緊の課題。短時間勤務の複数常勤カウントには賛成する」と述べた。

また、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「診療報酬と医師の働き方改革を合わせて考えることに違和感がある」とし、「医師も労働者。要件緩和より人員配置や労務管理で対応できないか」と疑問を投げかけた。

今後、実態調査を踏まえて11月下旬まで検討を重ね、12月に意見をまとめて厚労省に提出予定。

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