社会保障審議会介護給付費分科会は11月15日、特別養護老人ホームについて議論した。特養での看取りを推進すべく、複数の配置医を置くことやほかの医療機関との連携体制を評価、夜間職員配置加算についても拡充する。
複数配置医の容認 看取り体制構築へ
医療ニーズへの対応に関しては特に、医師と施設の情報共有や夜間の人員配置に看護職員や喀痰吸引などができる認定特定行為業務従事者を配置した場合の新たな加算を設ける方針。具体的には医療機関と特養の間で入居者の緊急時の情報共有の方法や時間帯ごとの連絡方法・タイミングなどについて取り決めがなされていることや複数名の配置医を置いていること、もしくは配置医師と協力医療機関等の医師が連携して24時間対応できる体制を確保することなどを要件とする。
齋藤訓子委員(日本看護師協会副会長)は「介護保険で医療ニーズを受け入れるとき。手厚い人員に配置に評価があってもその『人』が不足している。地域単位で人材活用について考える必要がある」と発言。伊藤彰久委員(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)は「勤務医について8割が非常勤だとか4時間以下の勤務という状況だ。加算によって体制を整えても機能するかは疑問」と発言した。
看取りの評価も論点にあがった。先述の医療提供体制を評価する加算要件を整えたうえで実際に入居者を特養内で看取った場合に更なるインセンティブを付与する。賛同する声もある中で、瀬戸雅嗣委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事・統括理事)は「環境を整えることが重要で最期の瞬間、病院に搬送することが重要なのではない」と意見が分かれた。
また、新たな論点として介護職員の介入が常時必要な入居者の一時帰宅を支援する評価の創設を提案。入居者が居宅で外泊をした際に在宅サービスを提供した場合、ひと月あたり6日を限度として一定の単位を算定する。
退院患者の受入特定施設で推進
この日は特定施設の報酬・基準も論点に上がった。こちらも焦点は医療ニーズに応え得る体制づくり。退院直後の患者の受け入れや、たんの吸引等が必要な入居者の受け入れを積極的に行う事業所、介護福祉士の数が一定割合以上であることを評価する案が示された。ショートステイの要件の在り方についても議題にあがったが、現行の入居定員の10%以内から18年度改正での変更はなさそうだ。
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