政府は12月15日、2018年度の介護報酬改定で0・5%台の引き上げを行う方向で調整に入った。プラス改定が決まれば、臨時の改定などを除き12年度以来6年ぶりとなる。厚生労働省が今年10月に公表した介護事業の経営実態調査による厳しい経営状況や、「介護離職ゼロ」の推進に配慮したと思われる。
0.5%台の引上げ 6年ぶり微増
16年度の介護経営実態調査で、全サービス平均の利益率は3・3%となり、14年公表の前回調査の7・8%から大きく低下した。15年度の前回改定で介護報酬が2・27%引き下げられたことや、慢性的な人手不足により人件費がかさんだことなどが要因。事業者の厳しい経営状況が浮き彫りになったとして、サービス提供体制の維持に向け、次期介護報酬改定は微増となる見通しが強まった。
今後の焦点は、個々の基本報酬や加算などの報酬単価。全体の改定率がプラスになったとしても、サービスによっては単位数を減らされてしまう可能性が高い。担い手の要件が緩和される生活援助や、利益率が高いとされる大規模デイサービスなどの報酬単価に注目が集まる。
12月13日の社会保障審議会介護給付費分科会でも、厚労省は「報酬単価にメリハリをつける」と、サービスによっての引き下げを示唆している。介護報酬単価の公表は1月下旬となる見通し。
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12月13日の介護給付費分科会では、これまでの20回にわたる審議報告がまとめられた。石本淳也委員(公益社団法人日本介護福祉会会長)は「限りある財源の中で何度も検証していくことが重要」と指摘し、他の委員らも「今後の課題は残る」という意見は出たものの、おおよそは賛同した。
濱谷浩樹老健局長は「困難な議論が多かったが20回にわたる議論をして形になった。このとりまとめを受けて真摯に介護報酬の見直しに取り組みたい」と述べた。
働き方改革との関係に留意した人材確保と生産性の向上、居宅介護支援事業所と医療機関における連携の促進、共済型サービスにおける地域のかかわり方など、今後の課題についての方向性も示した。
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