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商品流通システムの構築・運営を手がけるフローウィング(兵庫県姫路市)は、日用品などを介護事業所(以下・事業所)が卸値で購入できるネットストア「ケアフロー」を昨年3月より運営している。事業所は仕入れコストの削減を図れるほか、仕入れた商品をサービス利用者に販売して保険外収入を得るなど、様々な活用が可能だ。田中一平社長に詳しく話を聞いた。

──「ケアフロー」とはどのようなシステムですか。
田中 オムツやマスク、洗剤、消毒液、トイレットペーパーなど、ケアの現場や介護サービス利用者が使用する商品をネットで購入するものです。パンなどの食品もあります。取扱い商品は現状では約1万点ですが、システムに組み込まれるのを待っている商品が約2万点あります。商品はサプライヤーから注文した事業所に送られます。郵便物や宅配便が届く地域であれば全国どこでも利用できます。システム導入に際し初期費用が1万円、月額費用が7000円かかります。

──介護事業所のメリットは。
田中 まず、商品は卸値で購入できますので、事業所の運営コストを削減できます。次に、購入した商品を利用者に販売することで購入額と販売額の差額が介護事業所の収入になります。最後に、購入した商品を市価より安い価格でスタッフに販売することで福利厚生になります。

──利用者への販売は、どのような形で行っているのでしょうか。
田中 それは事業所が自由に考えて構いませんし、販売価格も自由に設定できます。実際には、利用者が喜びそうなものを事業所でまとめて購入し、施設内に売店のようなものを設けたり、スタッフがワゴン販売をしたり、買い物イベントを行ったりしています。

──それ以外の方法としては。
田中 スタッフが利用者の要望を聞いて一緒に買い物をするというケースがあります。買った商品は、デイサービスなどであれば送迎時に、訪問介護などであれば訪問時に利用者宅に届けます。

高齢者は家の近くに店が無かったり、あっても身体的な事情などで買い物に行けなかったりなどで「買い物難民」となっているケースがあります。また高齢者一人で通販を使うと、間違ったものを買ったり必要ではないもを買ってしまったりするリスクがありますが、当社のシステムであればスタッフがそばについていますので、そうしたリスクも少なくなります。

──事業所が物品を利用者に販売することについて、問題はないのでしょうか。
田中 まず社会福祉法人については、そうした行為に対して法律では特に言及されていません。一方、株式会社などでしたら全く問題はありませんが、介護サービスの時間以外に行う必要があります。例えばデイでは、サービスを終えた利用者が送迎を待っている間などに販売しなくてはいけません。

──現在の利用実績は。
田中 各種備品の協同購入を目的に設立された介護.net事業協同組合(札幌市)やデイサービスチェーンの日本介護福祉グループ(東京都墨田区)などが大口利用者です。このほか上場介護事業者などから多くの引き合いが来ています。また、現在事業所に物品を販売している、またはこれから介護業界への参入を検討している多くのサプライヤーからも「うちの商品を取扱って欲しい」といった要望が数多く寄せられています。

──今後、取扱い商品の拡大などは。
田中 今月よりデイ向けに弁当の販売を行います。5分間湯煎すれば食べられる食事を3食850円で販売します。特徴は高熱殺菌処理を行っており、1ヵ月は保存がきくという点です。

高齢者の場合は、前もって食事を買っていても体調などの問題で食べられないこともあります。保存できる期間が短いと食べずに無駄になってしまいますが、1ヵ月保存できればそうした無駄も無くなります。また、今年夏までには医薬品の取扱いも開始する予定です。

 

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