東京商工リサーチ(東京都千代田区)は1月5日、2017年(1月~12月)における「医療、福祉事業の倒産状況」の速報値を公開。業界全体の倒産件数は249件にのぼり、6年連続で前年を上回るとともに、介護保険法が施行された2000年以降で最多となった。
2000年以降最多に
同調査によると、17年の負債総額は前年比18・7%増の363億8100万円で2年連続で前年を上回った。内訳を見ると、負債10億円以上の大型倒産は9件と前年の7件を上回ったが、倒産全体では負債1億円未満が211件で8割を占めている。前年比で17・8%増加しており、小規模倒産が増加傾向だ。
業種別では、最多が「老人福祉・介護事業」で111件(前年比2・7%増)。次いでマッサージ業、整体院、整骨院、鍼灸院などを含む「療術業」が68件(同17・2%増)、「病院・医院」が27件(同12・9%減)、「障害者福祉事業」が23件(同109・0%増)など。
「老人福祉・介護事業」の倒産原因は、「販売不振」が最多で51件、「事業上の失敗」が26件。東京商工リサーチでは、「安易な起業や異業種からの参入など、事前準備や事業計画が甘い小・零細規模の業者が思惑通りに業績を上げられず経営に行き詰まったケースが多い」とみている。
なお、倒産形態別では、事業消滅型の破産が225件(前年比8・1%増)と全体の9割を占めた。再建型の民事再生は17件にのぼっており、この主な内訳では「病院・医院」が6件、「療術業」が5件、「老人福祉・介護事業」が4件など。
超高齢社会の日本における成長産業として注目される医療福祉業界だが、介護人材不足の深刻化などにより経営の舵取りは難しさを増している。業界内では淘汰の動きが加速しているようだ。
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