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京都府は16日、特別養護老人ホーム「安寿の里」(京都府宮津市)で入居者に不審な骨折や打撲痕などが見つかった件について、運営法人である社会福祉法人香南会(高知県香南市)に改善勧告を行った。府によると、過去2年間で計17人が虐待を受けた疑いがあるという。

身体的虐待と介護放棄疑い

この問題について、20日に宮津市議会は全員協議会を開催、概要を報告した。
昨年12月13日の夜間帯において、90代の女性入居者がベッドから転落。翌朝報告を受けた施設の看護師が付き添い病院を受診したところ、慢性硬膜下血腫のほか全身に打撲痕などを発見した医師が虐待を疑い、市に通報した。

調査に対し、担当職員は暴力を否定。女性をベッドに戻そうとした際に顔や体が床などにぶつかったと説明したが、本来2人で行うべき介助を1人で行ったことや、担当職員が看護師や上司への迅速な報告を行わず、適切な対応を取らなかったなどの事実を確認し、市は身体的虐待や介護放棄があったと判断した。

その後の2月8日、本件を高齢者虐待防止法に基づき虐待と認定。さらに立ち入り調査開始後も虐待を疑われる事案が複数発生したことから、府は16日、運営する社会福祉法人香南会に対し改善勧告を出した。「残る16人の状況も詳しく調べ、府警への告発も検討する方針」という。

2人介助できず人材不足引金か

寝たきりや認知症など、要介護度が重く自宅での生活が困難になった人のためのセーフティネットとしての役割を持つ特養において、このような事件が及ぼす影響は計り知れない。次期改定でも特養での看取りに加算が設けられるなど、国を挙げて地域高齢者の「終の棲家」へとその役割を明確化しようとしている矢先の出来事だ。

本件の原因については人材不足が考えられるが、これについて市は「施設全体としては既定の人員基準を満たしているが、一定の状況下など部分的には満たせておらず、人材不足の状態であった」と答えた。

同施設は、2015年3月に開設された80名定員の特養。社会福祉法人香南会は1991年の創立で、特養やグループホーム、ケアハウスを22施設運営している。本件の担当職員の処分などは未定。法人としても「故意の暴行があったという事実はない」との認識だ。

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