---成立ちと事業規模を聞かせてください。
小國 京都市の嵯峨嵐山地域で特養、診療所、デイサービス、伏見桃山地域でグループホーム、特養、児童館などを運営しています。当園は、戦後間もなく孤独な高齢者救済の養老施設壽樂園を開園したことから始まりました。1970年代に高齢者福祉総合施設へと拡大し、今日の介護サービスの先駆けとなりました。今年70周年記念シンポジウムを開催します。
「健光園あらしやま」は、地域との交流を深めて来ました。日々イベントを催す「いきいきサロン」、イベント後も入居者や地域の方が語らう地域交流スペース「あの音(ね)」、精神障害者で運営する喫茶「ジョイント・ほっと」には賑わいが絶えません。散歩や外食の希望も、できる限り実現させています。
---長い歴史の中で、大切にしてきた理念は何でしょうか。
小國 開園以来、「生涯地域居住」を提唱しています。暮らしが自宅から施設に移っても、地域の一員として「地域の人々と共に生きる」ことが大切です。地域とつながる、すべての世代が安心して暮らせることが、地域の未来を育むと考えています。
---外国人労働者の受入が始まりました。どのように対応していきますか。
小國 海外からの介護人材の好循環を促すために、国際介護人材育成事業団を設立しました。夏には、ミャンマーから人材を受入れる予定です。国内での職員募集は難しくなっています。これまでの60歳定年以降の非常勤雇用を、フルタイム勤務にする検討も必要でしょう。
---厚生労働省は「わが事、丸ごと」を掲げ、地域社会の共生を求めます。状況は好転しますか。
小國 良好な地域社会がなければ、サービスを積み上げても良くなりません。身体機能が低下しても、自分らしく幸福に暮らすには、エンパワメントが必要です。自らが声を上げ、地域がそれを育て、共生していかなければ難しいです。職員もジェネラリスト・ソーシャルワーカーとして成熟しなくてはなりません。「わが事、丸ごと」は、一見良いフレーズのようですが、具体的な意味は不明です。どのように実現するか、結果何が変わるかは示されていません。結局、介護保険制度は介護の専門家任せを助長させ社会化は理解されていません。その上に、具体性のないキャッチフレーズのせてもうまく行くとは思えません。
---今後の展開について、聞かせてください。
小國 既存の介護サービスで、QOLがどう上がるか調査していきます。身体介護でADLは改善しても、QOLは高まりません。生活範囲が他者に制限されては、その人らしい尊厳は保てません。ケアプランを自らつくれず、ケアマネのプランに従うだけではQOLの向上は難しいでしょう。しかし、社会福祉は当事者の自律性、社会性、自由を最大限に尊重するものです。操作的な意図の介入では、崩壊する性格のものです。だから当事者は声を上げ、カウンターパワーを形成することが大切です。
今の高齢者介護だけに特化した法律は、高齢者に失礼だと思います。市民資本で創る福祉協議会で在り方を決め、行政は活動を奨励補助するような社会化の進展を願っています。
法人概要
法人名 社会福祉法人健光園
設立 1952年(社会福祉法人化)
法人所在地 京都市右京区嵯峨大覚寺門前六道町12
代表施設 健光園あらしやま
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