スポンサーリンク

福岡県太宰府市で、有料老人ホーム「アクラス五条」「アクラスタウン」を運営する誠心は、地域住民が他の地域住民に対し生活支援などを行うクラブハウスを備えた新たなタイプの高齢者住宅を開設する。

地域のニーズ 会合で聞き取り

「有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の中には、地域との交流を目的にしたスペースを設けているケースが多いですが実際にはほとんど活用されていないのではないでしょうか。高齢者住宅側が地域コミュニティの形成についてもっと主体的に関わっていく必要があると考えました」

と語るのは、誠心の吉松泰子社長。同社では近隣住民を集め「日常生活や将来において不安に感じていること」「楽しみや生きがいに感じていること。不安解消のために要望したいこと」について意見交換を行うワークショップを開催した。約30人が参加したという。

「2回のワークショップを通じて、近隣住民の不安や要望は『セミナーの開催』『趣味や活動の場の提供』『ボランティア活動の実施』『よろず相談的な窓口の開設』などを行うことで解決することがわかりました。それを行政などに頼ったりせず、地域住民自らの手で行っていくことが地域コミュニティの活性化につながると考えました」(吉松社長)

そこで、ワークショップ参加者から「サポーター」の名称でこれらを企画し、取り組むメンバーを募り、会員組織「アクラス倶楽部」を結成。その活動拠点を誠心で用意することにした。

活動拠点は、同社の運営ホームから車で数分のところにある本社の隣接地。土地2筆、合計1000平米を購入した。

倶楽部会員常駐 各種相談に対応

1筆は、現在戸建て住戸2戸が建っているのでこれを改修して活用する。1戸は複数の店舗をテナントとして入居させ近隣住民の利便性を向上させる。もう1戸は1階をアクラス倶楽部活動拠点「クラブハウス」に、2階を4戸の高齢者向け賃貸住宅とする。オープンは8月の予定。

もう1筆は現在更地であり、新たに4棟8世帯の戸建て型高齢者向け賃貸住宅を建設する。完成は11月の予定。2筆併せての名称は「地域コミュニティのある高齢者ハウス」。

「クラブハウスには、アクラス倶楽部のメンバーが2名常駐し、会員登録をした近隣住民からの様々な相談に応じます。サ付き住宅などの生活相談サービスを、地域住民が行うイメージです。夜間や緊急を要する対応については当社ホームのスタッフが応じ、必要であればホームで短期受け入れをします。サービスは全て無料です。近隣の店舗にも、倶楽部会員に対して何らかのサービスを提供してもらうよう、呼び掛けていきます」

クラブハウスのある一帯は太宰府市屈指の高級住宅街。そこに住むことは大きなステイタスになるため『要介護になっても住み続けたい』という要望が多い。しかし、地域内に大規模な高齢者施設を開設するのは、各種規制や住環境の悪化を懸念する住民感情からしても難しいのが現実だ。そうした課題を解決する方法として、地域住民が自治的な形で他の住民を支援する体制を構築し、その運営を地場の介護事業者が支援をするというシステムを構築した。

「全国の高齢者住宅が、こうした取り組みを行ってくれれば、地域の力も向上し、在宅生活を継続できる高齢者も増えるのではないかと思います」

この記事は有料会員記事です。
スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう