介護予防訪問介護(以下・訪問介護)と介護予防通所介護(以下・通所介護)の総合事業への移行に際しては、それぞれのサービスを細分化していくことを国は打ち出している。今回は、その点を詳しくみてみよう。
訪問介護については、まず現行の訪問介護に相当するサービスを設定する。これについては介護事業者の訪問介護員がサービスを提供する。
これに加えて4種類の新たなサービスを設ける。これらのサービスは、従来の訪問介護よりも人員等の基準を緩和。また、サービス提供者もボランティアなどを想定しているものがある。
通所介護についても同様だ。現行の通所介護に相当するサービスを設定する一方で、基準等を緩和した新たなサービスを3種類設けボランティアなどに担い手となってもらう考えだ。
しかし、前号(9月3日号)でも指摘したように、ボランティアを事業の担い手として想定するのは非常に疑問だ。介護保険制度に詳しい淑徳大学結城康博教授も「ボランティアの確保が総合事業の最大の課題だろう」と指摘する。
東日本大震災以降、日本国内ではボランティア活動が活発になっていると言われているが「志の高い一部の人が、いくつもの団体に加盟し活動している。その人が病気や家庭の事情などで離脱した場合、たちまち複数の団体の活動に影響が出かねないのが現状」(都内のある区議会議員)であり、裾野が広がっているとまでは言えない状況だ。
ボランティアである以上、住民に参加を強制することもできない。ボランティアの確保について有効的な策を講じることができなければ、総合事業は瓦解する危険性を秘めている。
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