特定健診結果の電子化サービスや、病院の経費削減コンサルティングなど、医療機関・介護事業者の経営支援サービスを展開するエストコーポレーション(東京都千代田区)は2007年設立の若い企業ながら今期売り上げは約10億円にまで成長。2017年の上場を目指す。現在の事業展開と今後の展望などについて清水史浩社長に話を聞いた。
電子化1枚300円 年間60万件処理
──現在の事業展開について
清水 大きく医療分野、福祉分野の2本で展開しており、売上ベースでは医療4・福祉6、利益ベースでは医療6・福祉4です。医療では特定健診結果の電子化サポート、病院の経費削減コンサルティング、医療機関検索・予約サイト「エストドック」などを、福祉では福祉施設のレクリエーション代行「レクサポ」や高齢者向け脳トレプログラムの販売などを手掛けています。
──特定健診結果の電子化サポートとは
清水 2008年に特定健診電子化報告義務が医療機関に課せられました。しかし一般診療分野とは異なり、この分野では電子カルテなどのシステム導入が殆ど進んでいません。そこで当社が各種検診の結果表を入力し、国が指定するフォーマットに変換して、データ報告するまでを一括して行います。費用は1枚300円です。現在全国71の医師会と提携し、8800の医療機関に利用してもらっています。データ処理件数は年間60万件にもなります。
──医療機関の経費削減コンサルティングとは
清水 水道光熱費など単体メニューでコスト削減を提案する企業は多いですが、当社の場合は、家賃やホームページの制作・管理費などあらゆるコストを見直すのが特徴です。実際に削減できたコストの12%をフィーとして受け取ります。50床以上の病院を対象に提案しています。
エストドックは現在5200の医療機関の情報を掲載しており、そのうち約90%が歯科です。2013年11月のサイト開設来の予約総件数は約3万です。
診療効率改善で報酬改定乗り切る
──今後の事業展開については
清水 診療報酬は今後下がる一方でしょう。こうした中で医療機関が生き残っていくには「運営経費をいかに削減するか」「診察の効率向上をいかに図っていくか」が重要になります。そのためのサービスを提供していきます。
運営経費の削減については現在のコンサルティング事業で対応できます。診察の効率向上については、診察前は「エストドック」で解決が図れます。残りは「診察中の効率化」「診察後の効率化」です。診察中について言えば、他の医療機関に患者を紹介する場合の紹介状のやり取り、紹介先の医師のスケジュール確認などで非効率な部分が目につきます。また、診察後について言えば、電子決済など会計のIT化が進んでいません。こうした課題を解決できるサービスの商品化も進めて行きます。
──患者側にもメリットがあるのでは
清水 患者は財布も、診察券も、保険証も持たずにスマートフォンひとつで医療機関の予約・受診・支払いまで行うことが可能になります。受診後に会計を済ますために病院内に残る必要もなくなりますので、これまでのように「病院に行くと半日つぶれてしまう」といった状態が解消されますし、病院に滞在する時間が短ければ、他の患者から風邪などをうつされる可能性もその分低くなります。
──今後の売上目標などは
清水 2017年のマザーズ上場を目指しています。それまでに現在の約10億円の売上高を23億円にまで拡大させる計画です。社員数も現在は62名ですが2年後には100人体制にします。私自身がまだ31歳で、社員の平均年齢も27~28歳と若い世代のパワーで伸ばしてきた会社ですが、今後しばらくは上場に向けての社内体制の整備なども見据え、30代・40代など経験豊かな人材を即戦力として雇用していきたいと考えています。
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