東急住宅リース(東京都新宿区)は、管理を受託している賃貸住宅に入居を希望する高齢者に向けた滞納保証サービス「YUYUパートナーズ保証」の提供を昨年11月より行っている。「高齢者向けの保証サービスを大々的に行っているのは業界でも初ではないか」と同社ではコメントする。
高齢者のニーズ「見える化」実現
現在、同社が管理する賃貸住宅は約7万6000戸。高齢者の増加に伴い、高齢者が居住するケースも増えていると予想される。
「しかし、高齢者が契約当事者では入居できない賃貸住宅も多いために、実際に住んでいるのは高齢者でも、その子どもや孫が契約当事者となっているケースも少なくありません。このため、高齢者の居住が顕在化しにくく、彼らのニーズや問題点の『見える化』ができてないのが現状です。今回の保証サービス提供により、そうした問題が解消されることを期待しています」(東急住宅リース経営管理本部戦略企画部第一グループ 高橋正治課長)
現在、多くの賃貸住宅の貸主は、「支払い能力に不安がある」「孤独死のリスクがある」などの理由から、高齢者の入居に関しては積極的ではないのが現実だ。
「しかし、家賃や残置物撤去費用が保証されるならば、貸主も『高齢者に貸してもいい』と思うでしょう。当社の『YUYUパートナーズ保証』により、賃貸住宅に高齢者の入居が進むことが見込まれます」
相続や健康の相談受け付け
同商品の対象となるのは、契約名義人が満65歳以上の高齢者の場合。初回保証料は家賃の1ヵ月分。年間更新料は1万5000円。連帯保証人は不要(緊急連絡先を登録する必要あり)。
保証範囲は、?家賃(駐車場・トランクルームなどの付帯設備含む)?水道代・ガス代などの変動費?残置物撤去費用?明渡訴訟費用?早期解約違約金?原状回復費用、など。
例えば、入居者が居室内で死亡し、貸主に部屋を元通りにする原状回復費用、事故後に借り手が無く空室になった場合の家賃損失、事故発生居室に隣接した居室の空室や値引きによる家賃損失などが生じた場合に、それらが保証される。実際の被保険者は提携先のアールエムトラスト(同中央区)となる。
また、入居者は所有不動産の活用や相続などに関する相談、看護師や管理栄養士による24時間無料健康相談を受けることができる。
「他の保証会社では、賃借人が高齢者の場合には個別対応のケースが多く、高齢者向けの商品を大々的に手掛けているケースはありません。しかし、今後高齢者向けの保証は確実に広がっていくと思います。それが一般的になった時に、当社が業界のスタンダードモデルになっていたい、と考えています」
また、いくら優れた保証商品があっても、高齢者が「自分自身で部屋を借りよう」という意識にならない限りは保証商品が売れることは無い。そうした土壌づくりも重要になる、と同社では考えている。
「将来的には、自社保有物件を活用し、『YUYUパートナーズ保証』をつけて、保証人のいない高齢者でも安心して入居できる高齢者住宅の運営も手がけていきたいと考えています」
同社は2014年の設立。東急コミュニティー、東急リバブル、東急リロケーション3社の賃貸住宅管理事業を統合し、事業を展開している。
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